1998 Fiscal Year Annual Research Report
腎癌におけるカドヘリンの発現と予後,血行性転移スクリーニングシステムの確立
Project/Area Number |
10671457
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
島居 徹 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (80235613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 克紀 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (20223555)
河合 弘二 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (90272195)
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Keywords | Reual cell carcinoma / cadherin / cell adhesion molecule / cateuin / metastasis / prognosis / RT-PCR |
Research Abstract |
腎細胞癌は泌尿器癌の中でも血行性転移を起こしやすい癌であるが、他臓器癌と異なりN-cadherinとcadherin6が細胞接着分子として発現している。これらのcadherinの腎癌における意義、予後との関連性等について、検討した。 まず抗cadherin-6細胞外ドメインに対するモノクローナル抗体産生能を有するハイブリドーマ(作成済み)を大量培養しproteinカラムで精製、モノクローナル抗体2B6-D8を得た。この2B6-D8、抗E-cadherin抗体HECD1を用いて、凍結腎癌切除標本におけるcadherin6の発現、局在と細胞形態、進行度、転移、予後との相関性を検討した。この結果E-cadherinを全く発現しない腎癌が約70%と、他臓器癌に比較して非常に多く、E-cadherinの発現の異常は患者の予後と相関しなかった。一方、cadherin-6の発現パターンは、E-cadherinの発現パターンと相関が見られなかったが、その発現異常は有意な予後不良因子であった。以上から、腎癌においてはcadherin-6が細胞接着分子として転移の初期相に関連している可能性が考えられ、その異常は予後因子として有用と考えられた。 次に、腎癌の血行性転移を早期に発見するシステム開発のため、腎癌細胞株を用いcadherinの発現頻度を検討した。細胞形態、増殖性にかかわらず、E-cadherinは約20%、N-cadherinは100%、cadherin-6は約80%の発現率であることがわかり、N-cadherinとcadherin-6のmRNAを発現を検出することで腎癌細胞の存在を分子生物学的に検出できる可能性が示唆された。今年度はRT-PCRによるmRNA検出法の基礎的検討として、N-cadherin、cadherin6に対するPCRprimerの設定を行い(PCR産物:N-cadehrin=453bp、cadherin-6=441bp)、それが正常人血液において検出されないことを確認した。また腎癌細胞株を正常血液に混入させ、細胞分画を分離、RNAを抽出しRT-PCRによりこれらのmRNA検出を行ったところ、1000細胞/ml濃度以上の血液10mlからの検出が可能であった。さらに感度を向上させるため、nested PCR法を検討中である。
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Research Products
(1 results)