1999 Fiscal Year Annual Research Report
移行上皮特異的膜蛋白質ウロプラキンの一次構造解析と臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
10671469
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
吉貴 達寛 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (80230704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧浦 弥恵子 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (90293836)
片岡 晃 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (80293835)
金 哲將 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (10204968)
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Keywords | ウロプラキン / 移行上皮 / PCR / cDNA / 塩基配列 |
Research Abstract |
ウシウロプラキン(UP)の遺伝子配列を参考にして、全コード配列が増幅されるようにプライマーを各々設定した。PCR法とダイレクトシークエンス法を利用して、三種類のヒトUPのcDNA配列を決定した。 ヒト膀胱癌組織でのヒトUP遺伝子の発硯をPCR法で調べた。正常膀胱粘膜ではもちろん、12例の移行上皮癌では高分化型ではもちろん低分化型でも、全例において4種類のUP全ての発硯を認めた。また、移行上皮癌患者の末梢血からRNAを抽出し、2組のヒトUP特異的プライマーを用いたnested RT-PCR法により、ヒトUP遺伝子の発現を調べた。3例の正常人末梢血および9例の限局性膀胱癌患者血液中にはUP遺伝子は見出されなかったのに比べ、進行期尿路移行上皮癌の多発性肝転移1例、肝転移2例の計3例の有転移症例ではこれらの遺伝子が発現していることが明らかになった。すなわち、血液中に移行上皮癌細胞が浮遊していることが証明された。 次に、合成ペプチドを免疫原としてヒトUP-la、UP-lbに対する抗血清をそれぞれ作製した。これらの抗体は移行上皮の細胞膜に反応し、他臓器には陽性所見を認めなかった。このうち抗ヒトUP-la抗体によるヒト膀胱癌組織に対する免疫組織化学では、大部分の癌細胞に対して良好な反応性であった。さらに、ヒトUP-lb遺伝子産物の組換え蛋白質を作り、マウスモノクローナル抗体を作製した。最終的に、組換え蛋白質だけでなくネイティブな状態のヒトUP-lbに反応するクローンを選択することができた。免疫組繊化学的検討では、移行上皮癌の細胞膜を認識した。現在、これらのポリクローナル抗体とモノクローナル抗体を用いて、サンドウィッチ法によるヒトUP-lb測定系を開発中である。
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[Publications] Takeshi Yuasa: "Expression of uroplakin Ib and uroplakin III genes in tissues and peripheral blood of patients with transitional cell carcinoma"Japanese Journal of Cancer Research. 89. 879-882 (1998)
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[Publications] Takeshi Yuasa: "Expression of transitional cell-specific genes, uroplakin I and II, in bladder cancer: Detection of circulating cancer cells in peripheral blood of metastatic patients"International Journal of Urology. 6. 286-292 (1999)