1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10671473
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
椎名 浩昭 島根医科大学, 医学部, 助教授 (70187318)
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Keywords | 膀胱癌 / MAGE遺伝子 / 腫瘍拒絶抗原 / 増殖能 / p53遺伝子 |
Research Abstract |
腫瘍拒絶抗原(Tumor rejection antigen;TRA)は腫瘍細胞の表面で、特異的cytotoxic T細胞により認識される。MAGE遺伝子は、正常組織では不活化されているが腫瘍組織では活性化され、このTRAをコードする遺伝子と考えられている。MAGE遺伝子は12のfamily遺伝子により構成され、特にMAGE1,2,3,4および12が腫瘍免疫に関連するとされるが、このMAGE遺伝子と膀胱腫瘍の発生および進行との関係は明らかではない。一方、瘍抑制遺伝子p53の変化は膀胱腫瘍では高頻度に認められ、その変化は癌化の初期に生じることが報告されている.MAGE遺伝子1,2,3および4の発現を15例(表在性膀胱腫瘍8例、浸潤性膀胱腫瘍7例)の膀胱腫瘍を用いて検討した。Total RNAはCesium chloride法により抽出し、RT-PCR法によりその発現を評価した。約半数の症例(7例)でMAGE遺伝子のいずれかが発現しており、膀胱腫瘍でもMAGE遺伝子が活性化されていることが想定された。しかし、少数の検討のため、MAGE遺伝子の活性化と腫瘍の深達度および異型度との関連は明らかではなかった。一方、p53遺伝子のmutationは10例に認められ、MAGE遺伝子の活性化と比較するとその頻度が高い傾向にあった。p53遺伝子のmutationはexon4,5,6,7,8,9に関して検討したが、そのmutationとMAGE遺伝子群のいずれかの活性化の両者が認められた症例は2例のみであり、p53遺伝子のmutationが膀胱癌の初期における変化と仮定すると、MAGE遺伝子の活性化は発癌の比較的遅い時期に生じる可能性が推定された。今後は症例を増加して検討するとともにラットおよびマウスの実験的発癌でのMAGE遺伝子の変化と癌遺伝子および癌抑制遺伝子の変化との関連を検討する予定である。
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