1999 Fiscal Year Annual Research Report
ラット異糸間膀胱移植モデルの作成と生着率、組織学的検討
Project/Area Number |
10671480
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
大岡 啓二 愛媛大学, 医学部・附属病院, 講師 (80223733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
俊野 昭彦 愛媛大学, 医学部, 助手 (40314950)
岡 明博 愛媛大学, 医学部, 助手 (50294799)
横山 雅好 愛媛大学, 医学部, 教授 (50116993)
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Keywords | 膀胱移植 / 急性拒絶反応 / アポトーシス / ラット |
Research Abstract |
前年度に、膀胱移植における急性拒絶反応の発現様式を確認するために、ドナーとして250-350gの雄BNラット、レシピエントとして250-350g雄ルイスラットを用いた膀胱移植を行った。移植後、免疫抑制剤は投与せず、移植後4日、6日、8日、10日、12日、14日目にラットの移植膀胱を摘出し、移植膀胱と固有膀胱の組織変化を観察した。 今年度は、急性拒絶反応の発症とその進展様式とアポトーシスの関連性を検討するために、tunnel法によりアポトーシスの存在の確認を行った。 移植膀胱の組織学的変化は、まず移植後4日目には上皮および筋層内への炎症細胞浸潤は極く軽度であり、組織構築にも変化はみられなかったが、移植後6日目には、粘膜下層への細胞浸潤が見られ始めた。移植後8日目には粘膜下層への細胞浸潤および出血がみられ上皮内へのリンパ球浸潤がより顕著になり、tunel染色によりアポトーシスが上皮内で起こっていることが確認された。移植後10日目には移行上皮の脱落が見られ始め、粘膜下層では出血が起こり、筋層においては筋構築が崩れ壊死が起こり始め、移植後12日目には、上皮は完全に脱落し粘膜下層筋層共に壊死に陥った。 本研究で確認された急性拒絶反応の発現様式を整理すると、まずリンパ球を中心とした炎症細胞浸潤が粘膜下層を中心に起こり始め、粘膜下層は浮腫、繊維化が起こる。上皮にはリンパ球による細胞浸潤が起こり、これによりアポトーシスが誘発される。筋層にも細胞浸潤が起こり筋細胞にも障害が起こり始める。細動脈の内膜肥厚や内皮細胞の腫大の結果動脈は閉塞し粘膜下層には出血梗塞が起こり、この血流障害により移行上皮は脱落し、筋組織は細胞浸潤による組織障害とあいまって壊死に陥っていくものと考えられた。
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