前立腺癌の再燃と悪液質におけるIL6とIL8の病態生理学的意義の解明とその克服

1998 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 10671494
• Research Institution: Keio University
• Principal Investigator: 中島 淳 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (10167546)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 村井 勝 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90101956) ; 大東 貴志 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (80185371) ; 橘 政昭 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (70129526) ; 朝倉 博孝 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50175840) ; 小津 兆一郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90296674)
• Keywords: 前立腺癌 / インターロイキン6 / 細胞増殖

Research Abstract

前立腺癌細胞の増殖におよぼすIL-6などのサイトカインの役割ならびにそれらサイトカインの活性を抑制することによる増殖活性の変化につき検討した。まず、前立腺癌培養細胞株であるPC3,DU145,JCA1ならびにLNCapによるIL-6の産生能を調べるため、in vitroにおけるそれらの培養土清中の活性をenzymelinkedimmunosorbent assayにより測定したところ、PC3,DU145,JCA1の培養上清中のIL-6の活性は23.3pg/ml,9.5pg/ml,5533pg/mlであり産生が認められたが、LNCapでは<0.16pg/mlと活性が認められなかった。次に、それらサイトカインの細胞増殖に及ぼす影響を調べるため、各細胞を無血清培地で96micoplateに播種し、蛍光色素を用いて蛍光光度計により細胞数を測定した。PC3細胞を0.08ng/ml,0.4ng/ml,2ng/ml,10ng/ml,50ng/mlのIL-6存在下に培養したときの増殖刺激活性を測定したところ、それぞれ0.4%、25.5%、34.3%、29.9%、25.9%の細胞増殖が認められた。また、JCA1細胞を0.4μg/ml、2μg/ml、10μg/ml,50μg/ml,250μg/mlの抗ヒトIL-6受容体抗体とともに培養したとき細胞増殖活性はそれぞれ18.3%、18.7%、18.7%、20、6%、19.6%抑制された。また、同様にDU145細胞を0.4μg/ml、2μg/ml、10μg/ml,50μg/ml,250μg/mlの抗ヒトIL-6受容体抗体とともに培養したとき細胞増殖活性はそれぞれ13.7%、17.5%、26.1%、27.0%、23.1%抑制された。以上の結果より、IL-6が前立腺癌細胞により産生されることが示され、また、IL-6が前立腺癌細胞の増殖を刺激することならびにIL-6の作用を抑制することにより細胞増殖が抑制されることが示唆された。