2001 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌の再燃と悪液質におけるIL6とIL8の病態生理学的意義の解明とその克服
Project/Area Number |
10671494
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中島 淳 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (10167546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大東 貴志 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (80185371)
大家 基嗣 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (00213885)
小津 兆一郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90296674)
村井 勝 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90101956)
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Keywords | 前立腺癌 / interleukin 6 / 予後 |
Research Abstract |
前立腺癌患者において血清IL-6が上昇していることが示唆されているが、その予後因子としての意義は不明である。今回、前立腺癌患者における血清IL-6の予後因子としての意義につき検討した。未治療前立腺癌患者77例において血清IL-6を測定した。臨床病期はstageAが3例、stageBが23例、stageCが14例、stageDが37例であった。組織学的分化度は高分化19例、中分化48例、低分化10例であった。stageA, B, C, Dにおける血清IL-6値はそれぞれ1.20±0.22P9/ml,2.56±0.41pg/ml,2.54±0.47pg/ml,11.85±4.25pg/mlであり、血清PSA値はそれぞれ2.27±0.71ng/ml,50.12±13.88ng/ml,62.94±12.77ng/ml,660.07±207.44ng/mlであり、ともに臨床病期の進行とともに有意な増加が認められた。一方、組織学的分化度と血清IL-6値の間には有意な関連が認められなかった。全症例を対象としたとき、血清IL-6値が7pg/ml以上を示す患者ではそれ未満の患者に比べて有意に生存率が不良であった。また、performance status(PS)が0と1以上、EODが0と1以上、PSAが100ng/ml未満と100ng/ml以上、ALP値が620IU/l未満と620IU/l以上の患者の間でそれぞれ生存率に有意の差が認められた。Cox比例ハザードモデルを用いた多変量解析によりEODとIL-6値が予後に及ぼす有意な独立因子であることが示された。進行性前立腺癌(stageCおよびD)を対象としたとき、単変量解析ではPS, EOD, IL-6,PSA, ALPおよびLDHが有意に生存率と関連し、多変量解析ではEODとIL-6値が予後に及ぼす有意な独立因子であった。以上より、前立腺癌患者において血清IL-6値は臨床病期の進行とともに増加することが示され、有意な予後因子であることが示された。
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