1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10671495
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
佐藤 直秀 帝京大学, 医学部, 講師 (50287017)
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Keywords | 前立腺癌 / 転移 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
平成10年度に樹立した前立腺癌転移抑制遺伝子KAI-1(カイワン)を導入したヒト前立腺癌細胞株LNCaP(LN-K)、対照プラスミドを導入したLNCaP(LN-M)、オリジナルのLNCaP(LN-O)を実験に用い、次のような結果を得た。 1)LN-Kの増殖速度はLN-0,LN-Mに比べてやや遅いものの有意差はなかった。LN-Kのアンドロゲン反応性は保たれており、前立腺特異抗原(PSA)mRNAの発現もLN-O,LN-Mと同程度だった。 2)in vitro invasion assay では、LN-Kの浸潤能はLN-O,LN-Mに比べて著名に低下していた(t-test,p<0.01)。 3)LN-O,-M,-Kをそれぞれ雄SCIDマウスの前立腺背側葉に注入後、マウスの血清PSAが100ng/mlを越えたとき解剖し、転移の有無を組織学的に検索した。LN-O,LN-M注入群では骨盤内リンパ節に75〜80%、肺に25〜30%の転移が認められたが、LN-K注入群では全く転移が検出されなかった。転移巣はPSA抗体染色でさらに確認した。 以上の結果から、KAI-1を発現していない前立腺癌細胞にKAI-1を導入すると、浸潤能の抑制により転移を完全に抑制できる可能性が示唆された。今後の遺伝子治療への応用として、(1)癌病巣に直接KAI1発現ベクターを導入し新たな転移を予防する、(2)発現ベクターを全身投与し既転移巣の拡大を抑制する、ことが期待される。
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