1998 Fiscal Year Annual Research Report
形態計測的免疫的電顕による内分泌非機能性副腎皮質腺腫と機能性腺腫の比較検討
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10671499
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
平野 大作 日本大学, 医学部, 助手 (40228804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 肇 日本大学, 医学部, 助教授 (70138452)
岡田 清己 日本大学, 医学部, 教授 (70059301)
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Keywords | 内分泌非機能性副腎皮質腺腫 / 形態計測 / 免疫電顕 |
Research Abstract |
現在まで、内分泌非機能性副腎皮質腺腫(NFA)8例、内分泌機能性副腎皮質腺腫としてアルドステロン産生腺腫(APA)9例を集計し、それらを電子顕微鏡を用いて観察した。通常電顕による超微形態は、NFAおよびAPAともよく発達した糸粒体、滑面小胞体、粗面小胞体、脂肪空胞などの細胞小器官で構成されていたが、それぞれの細胞小器官の超微形態は両者とも類似していた。しかし、APAのうち抗アルドステロン剤による治療を行った症例にはスピノロラクトン小体を認めた。 得られた電顕写真を無作為に抽出し、各腺腫において少なくとも20細胞以上について、各細胞小器官(糸粒体、滑面小胞体、粗面小胞体、ライソゾーム、脂肪空胞)の単位細胞面積比をグリッド法を用いて形態計測的解析を行った。NFA(n=163細胞)における各細胞小器官の平均単位細胞面積比は糸粒体11.2±7.8%、滑面小胞体16.3±13.8%、粗面小胞体2.8±2.0%、脂肪空胞20.0±23.5%、ライソゾーム1.3±1.9%であった。一方、APA(n=181細胞)では糸粒体17.2±8.6%、滑面小胞体19.3±9.8%、粗面小胞体6.3±5.5%、脂肪空胞19.4±13.1%、ライソゾーム1.2±1.6%であった。Mann Whitney U-testでNFAにおける糸粒体、滑面小胞体、粗面小胞体の単位細胞面積比はAPAに比べ有意に減少し(p<0.0001)、形態計測的解析では、NFAはこれらの細胞小器官の発達が乏しいために、内分泌機能性副腎皮質腺腫のように過剰なホルモンを産生していないと考えられた。 今後、ステロイドホルモン産生に必要とされているチトクロームP-450の局在についての免疫電顕的観察を行い、先に得られた形態計測的解析の結果と比較し、NFAの病態を解明する予定である。
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Research Products
(1 results)