1998 Fiscal Year Annual Research Report
PCRを用いた臓器移植ドナーならびに移植臓器の感染起因菌の迅速診断に関する研究
Project/Area Number |
10671501
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
星長 清隆 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教授 (30229174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 敏 藤田保健衛生大学, 医学部, 研究員
樋口 徹 藤田保健衛生大学, 医学部, 助手
白木 良一 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (70226330)
名出 頼男 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (40084561)
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Keywords | PCR法 / 臓器移植 / ドナー感染 / 臓器汚染 / MRSA / 緑膿菌 / 真菌 / 迅速診断 |
Research Abstract |
平均在院期間の長い心停止ドナーからの摘出腎を移植に用いることが多い我が国では、気道挿管チューブや中心静脈ライン、尿道留置カテーテルなどを介して、ドナー候補者に重篤な全身感染症を来たしやすく、摘出腎にも感染起因菌による汚染が及ぶ確率が高いと推察される。とくに死亡前に高熱を来たし、CRP値の上昇や末梢白血球数の増加を認めるドナー候補者では、摘出された腎臓が安全に移植しうるか否かを、移植までの限られた数時間以内に判定することは、通常の細菌培養法では不可能と考えられる。我々は、心停止直前のドナー血液、ならびに摘出した腎臓の灌流液や腎盂尿に対して、鋭敏な結果が数時間(4-6時間)以内に判定しうるpolymerase chain reaction(PCR)法を用いて感染(汚染)の有無を診断し、平行して行った迅速震蕩培養の結果を参考に心停止ドナーからの摘出腎が移植に使用できるか否かを判定した。検出の対象とした菌種は、臓器移植後に感染した場合に難治性となる、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)と緑膿菌、並びにカンジダやクリプトコッカスなどの真菌族で、それぞれに特有の遺伝子(mec A,fem A. P.aeruginosa gyr A. 18s-rDNA)をPCR法によって検出した。今回の検討対象となったドナー候補者は47例で、内3例はPCR法により菌血症と判定され、腎摘出を中止した。一方、残りの44例から摘出された87腎のうち2腎にMRSA汚染が判明したため廃棄された。灌流不良で破棄された3腎を除く82腎は移植された。また、他施設から転送された14腎のうち2腎にMRSAとカンジダによる汚染がPCR法により発見され破棄されたが、他の12腎は移植された。腎移植を受けた94例ではドナー由来の持ち込み感染は1例も認めなかった。以上より、PCR法によるドナーならびに摘出臓器の感染起因菌診断は臓器移植の臨床に置いて極めて有用な検査法になりうると考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.HOSHINAGA: "Rapid Diagnosis of Donor and Ronal Allograft Infection Using a Dolymerase Chain Reaction Technique" Transplantation Proceedings. 31. 1258-1259 (1999)
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[Publications] Kiyotaka Hoshinaga: "Clinical Transplants 1998" UCLA Tissue Typing Laboratory, 213-220 (1999)