2001 Fiscal Year Annual Research Report
PCRを用いた臓器移植ドナーならびに移植臓器の感染起因菌の迅速診断に関する研究
Project/Area Number |
10671501
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
星長 清隆 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (30229174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 清仁 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (80312114)
白木 良一 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教授 (70226330)
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Keywords | 献腎移植 / PCR / 感染 / 腎汚染 / MRSA / カンジダ / 迅速培養 / 術前診断 |
Research Abstract |
本研究では2001年12月までに、当院にて献腎提供の承諾を得た84ドナーと159摘出腎並びに他施設より当施設に搬送された21腎から得られた、心停止前ドナー血液や腎灌流保存液、腎孟尿をPolymeraze Chain Reaction法(以下PCR法)にて検索し、難治性感染起炎菌などが特異的に保有する遺伝子の有無を4-6時間以内に判定した。標的とした遺伝子は、fem A(黄色ブドウ球菌に特有)、mec A(メチシリン耐性ブドウ球菌に特有)、P.aeruginosa Gyr A(緑膿菌に特有)、18S-rDNA(カンジダなどの真菌に特有)である。また同時に各検体に対し、迅速振盪培養(Rapid Shaking Culture:以下RSC)を行い、PCRが陽性に出た場合の補助診断とした。ドナーの入院から心停止までの期間は平均9.3日で、この期間の末梢血白血球数は平均21060/μl、血清CRP値の平均は23.9mg/dl、体温は平均37.9℃と、明らかにドナーに強い炎症反応が認められた。まず、ドナーの心停止前血液では、PCR法、およびRSC法にて2例にMRSAが検出され、1例ではRSC法にてバクテロイデスが検出され直前に腎摘出は中止された。一方、当院にて摘出された159腎ではPCR法ならびにRSC法にて7腎に汚染が検出され7腎とも破棄されたが、その内訳は、MRSA2腎、カンジダ5腎であった。また他施設から転送されてきた21腎では、PCR法とRSC法にて1腎がカンジダ、1腎がメチシリン感受性ブドウ球菌(MSSA)による汚染と判定され破棄された。感染以外の理由で破棄された7腎を除いた残りの164腎は献腎移植に使用され、ドナー由来のこれらの菌種による術後感染症は1例も認めなかった。以上が本研究の結果であり、菌血症を認めた3例のドナー候補者から得られたはずの6腎と破棄した7腎を合わせた13腎を移植される予定であった13名の患者における献腎移植後の重篤な持込感染症が手術直前に防止できた。これらの結果は2001年12月のInternational Congress of Immunosuppression(SanDiego)にて発表した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Hoshinaga K, Higuchi T, Shiroki R, et al.: "Rapid diagnosis of donor and renal allograft infection using a polymerase chain reaction technique"Transplantation Proceedings. 31. 1970-1972 (1999)
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[Publications] Ishikawa K, Hoshinaga K, Maruyama T, Shiroki R, et al.: "Mycobacterium tuberculosis infection of bilateral cervical lymph nodes after renal transplantation"International Journal of Urology. 8-11. 640-642 (2001)
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[Publications] Shishido S, Asamura H, Tajima E, Hoshinaga K, et al.: "ABO-incompatible living-donor kidney transplantation in children"Transplantation. 72-6. 1037-1042 (2001)
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[Publications] 星長清隆: "献腎移植"G.I.Research. 9-1. 11-18 (2001)
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[Publications] 石川清仁, 星長清隆, 名出頼男: "感染起因菌の迅速診断-PCRを用いた移植腎感染の検討"Infection Control. 8-12. 46-48 (1999)
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[Publications] 星長清隆: "心停止ドナー(Non-Heart Beating Donor)からの献腎移植"Organ Biology. 7-3. 25-35 (2000)
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[Publications] 星長清隆, 佐々木ひと美: "先端医療シリーズ13. 腎臓病 腎臓病の最新医療"先端医療技術研究所. 197-200 (2001)