1998 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺の増殖と分化の制御機構:アンドロゲンと増殖因子間の相互作用
Project/Area Number |
10671508
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
杉村 芳樹 愛知県がんセンター, 研究所, 研究員 (90179151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立松 正衛 愛知県がんセンター, 病理学第一部, 部長 (70117836)
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Keywords | 前立腺 / 微小解剖 / 前立腺腺管 / アンドロゲン / 増殖因子 / TGF-α / 扁平上皮化成 |
Research Abstract |
成長後の前立腺腺管を無血清器官培養し,前立腺形態維持における増殖因子の役割を検討した.成獣マウス前立腺の後側葉を微小解剖し得られた前立腺腺管を無血清培養液上に浮かべたフィルター上にて6日間器官培養した.培養条件としてはテストステロン(10-7M)の有無および,TGF-α,EGF,aFGF,bFGFを添加し検討した.培養後の前立腺腺管の画像をコンピュータに取り込み腺管構造を形態測定した.標本はホルマリン固定し,組織学的検討をするとともにBrdUのラベリングにて増殖能を検討した.テストステロンの存在下ではほぼ正常の腺管構造と上皮細胞形態を認めたが,テストステロンの非存在下では培養腺管は約30%が退縮し,残存した上皮細胞は分泌活性を認めなかった.テストステロンの非存在下において各種増殖因子を添加した結果,TGF-αとEGFは腺管の退縮に影響を与えなかったが,上皮の増殖および偏平上皮化成を誘導した.一方,bFGFは腺管の退縮を防止するとともに上皮形態を維持させた.以上より,bFGFは成長後の前立腺形態維持においてアンドロゲン作用に代わりうる重要な役割を持つことが示唆された.BrdUのラベリングによる細胞増殖能の検討では、TGF-αとEGFは基底細胞を中心に増殖そ認めた。以上より本システムは、正常前立腺の増殖および形態維持におけるアンドロゲンおよび各種増殖因子の直接作用を検討に有用と考えられた。とくに、TGF-αにより誘導された前立腺上皮の偏平上皮化成の発生機構は、来年度の研究課題としてさらに検討が必要と思われた。
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[Publications] Lipshutz,HJ et al: "Clonality of urogenital organs as determined by analysis of chimeric mice" Acta Anat. (in press). (1999)
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[Publications] 杉村芳樹: "前立腺の臨床、臓器としての前立腺" 日本医師会雑誌. 119. 598-599 (1998)
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[Publications] 杉村芳樹: "前立腺肥大症、発生病理" 排尿障害プラクチス. 6. 59-63 (1998)