1999 Fiscal Year Annual Research Report
シスプラチン耐性細胞に対するタキソールの有効性と作用機序に関する分子生物学的検討
Project/Area Number |
10671523
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
青木 陽一 新潟大学, 医学部, 講師 (40231774)
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Keywords | シスプラチン耐性 / パクリタキモル / 卵巣癌 / bcl-2 / bcl-2リン酸化 / アポトーシス |
Research Abstract |
本研究はシスプラチン耐性となった卵巣癌細胞に対するタキソールの有効性、さらに耐性細胞に対するタキソールの作用機序を分子生物学的に解析し、シスプラチン、タキソール等の抗癌剤の使い分けが可能かどうかを検討することを目的とした。卵巣癌細胞株TYK,Nakajima,HRAの3株およびそのシスプラスチン耐性株TYK-R,Nakajima-R,HRA-Rを使用し、MTTassayによりシスプラチン、タキソールのIC50を測定した。3種のシスプラチン耐性株中、2種においてはタキソールに対して感受性を示し、HRAにおいてはシスプラチンとの交差耐性を認めた。シスプラチンおよびタキソールの添加時に、DNAfragmentationを観察し、アポトーシスの関与が示唆された。bcl-2,p53の発現をRNAレベル(RT-PCR法)、タンパク質レベル(Western blotting)で解析し、使用した3細胞株すべてにおいてシスプラチン耐性株において、RNA,タンパク質レベルともにbcl-2の発現増強、p53の発現低下が観察された。シスプラチン投与時にはBcl-2のリン酸化は不明であったが、タキソール投与時にはBcl-2のリン酸化が全例において認められた。また、シスプラチン耐性株においては、タキソール感受性を示したTYK-RとNakajima-Rにおいてはbcl-2のリン酸化を認めたが、タキソール抵抗性のHRA-Rにおいては、bcl-2の発現は親株に比し増強しているものの、bcl-2のリン酸化は10μMタキソールの投与によっても認められなかった。シスプラチン耐性株において、タキソール感受性を示す細胞株ではタキソール添加時にbcl-2のリン酸化が起きさらにアポトーシスを誘導していると考えられた。これがタキソールの作用機序において重要な働きをしている可能性が示された。
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