1998 Fiscal Year Annual Research Report
顆粒膜・莢膜細胞間相互作用による卵胞発育・閉鎖機構の研究
Project/Area Number |
10671527
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
小辻 文和 福井医科大学, 医学部, 教授 (50153573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田嶋 公久 福井医科大学, 医学部附属病院, 助手 (60303377)
矢田 敬二 福井医科大学, 医学部, 助手 (00239782)
細川 久美子 福井医科大学, 医学部, 助手 (60199495)
後藤 健次 福井医科大学, 医学部附属病院, 講師 (10178444)
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Keywords | 顆粒膜細胞 / 莢膜細胞 / 細胞間相互作用 / 卵胞発育 / 細胞増殖 / エストロゲン / プロゲステロン / アポトーシス |
Research Abstract |
本年度は以下のプロジェクトで成果を得ることができた。 I. 細胞間相互作用による顆粒膜・莢膜細胞の増殖能、ホルモン産生能、アポトーシスの調節:卵胞発育に伴う変化 ウシ卵巣の発育初期の卵胞および排卵直前の卵胞より顆粒膜細胞と葵膜細胞を単離し、各々の細胞をコラーゲン膜の両面に個別に培養、両細胞の相互作用が顆粒膜・莢膜細胞の増殖ホルモン産生能に及ぼす影響を検討した。この研究により以下の結果を得た。 (1) 莢膜細胞による顆粒膜細胞機能調節:卵胞発育の初期には、莢膜細胞は顆粒膜細胞の増殖を促進させホルモン産生を抑制されること、また卵胞発育が進むと顆粒膜細胞のホルモン産生を促進させ増殖への影響が消失する。 (2) 顆粒膜細胞による莢膜細胞の機能調節:顆粒膜細胞は、卵胞発育期間を通じて、莢膜細胞の増殖とホルモン産生を促進する。 (3) 莢膜細胞による顆粒膜細胞のアポトーシス調節:本年度の研究では、莢膜細胞の存在が顆粒膜細胞のアポトーシスをどのように調節するかを調べる実験手技の確立に成功した。卵胞発育の初期には莢膜細胞は顆粒膜細胞のアポトーシスには影響を及ぼさないものの、発育が進んだ卵胞では顆粒膜細胞のアポトシスを抑制することが、フローサイトメロリを用いた検討により明らかにされた。現在、DNAラダー観察、細胞形態観察により前述の現象を確認する実験が進行中である。 まとめ:本年度の研究により、顆粒膜細胞と莢膜細胞との相互作用は卵胞の発育や閉鎖を調節する重要な要素であること、また細胞間相互作用の役割は卵胞発育の進行にともない変化することが明らかにされた。 II. ヒト顆粒膜細胞株の樹立の試み ヒト卵巣における顆粒膜・莢膜細胞の相互作用の検討のために、ヒト顆粒膜細胞株の樹立の試みた。体外受精で得られた顆粒膜細胞にras遺伝子、p53遺伝子を導入することで世界で初めてヒト顆粒膜細胞の不死化に成功した。またこの細胞の持つ特徴を検討した。なお、この研究はワイツマン研究所との共同で行われた。
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[Publications] 細川久美子等: "Induction of Ad4BP/SF-1, steroidogenic acute regulatory protein, and cytochrome P450scc enzyme system expression in newly established human granulosa cell lines." Endocrinology. 139巻. 4679-4687 (1998)
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[Publications] 細川久美子等: "Modulation of Mdm2 expression and p53-induced apoptosis in immortalized human ovarian granulosa cells." Endocrinology. 139巻. 4688-4700 (1998)
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[Publications] 細川久美子等: "ヒト顆粒膜細胞株の樹立とこれを用いたホルモン産生、アポトーシス機構の研究" 産婦人科治療. in press.
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[Publications] 小辻文和: "排卵と月経:顆粒膜-莢膜細胞間相互作用による卵胞機能調節" 中山書店, 193-205 (1998)