1999 Fiscal Year Annual Research Report
子宮収縮の調節におけるカリウムチャンネル膜電位制御機構の役割
Project/Area Number |
10671545
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
三好 博史 広島大学, 医学部・附属病院, 助手 (40294590)
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Keywords | 子宮収縮 / カリウムチャンネル / パッチクランプ / 妊娠 / 陣痛 / イオンチャンネル / キャップ結合 |
Research Abstract |
昨年確立した酵素コラゲナーゼ・プロテアーゼを用いた妊娠ラット子宮平滑筋縦走筋層から細胞を単離する方法を用いて、子宮筋におけるカイウムチャンネル電流の分離同定とその解析を行った。通常のパッチクランプ法(全細胞記録法)により二種類の電流が記録された。これらの電流は減衰時定数と電位依存性により、遅延性矩形波電流(Delayed rectifier 電流)と一過性外向き電流であると同定された。遅延性矩形波電流は20mMのテトラエチルアンモニウム(TEA)により阻害され、活動電位の再分極相を形成する電流と考えられた。一過性外向き電流は2mMの4-アミノピリジン(4-AP)により阻害されることより神経細胞で観察されるA電流と考えられ、活動電位の発生自体を抑制していることが推測された。単一チャンネル記録(Inside-out-patch法)では細胞内のカルシウム濃度に依存して開閉するCa activated K channelが記録された。単一コンダクタンスは約250pSと比較的大きく、このチャンネルはmaxi-K channelの性質を持っていた。このチャンネルは細胞が収縮した後に開き、膜電位を過分極させ収縮を終息させるのではないかと考えられた。 以上からこれらのカリウムチャンネルが相互に働き、膜電位を変化させ子宮収縮を制御していると思われた。現在はβ刺激剤をはじめとする各種薬剤の効果を検討している。この実験中に非選択性陽イオンチャンネルと考えられる電流も記録されており、別の膜電位制御機構あるいはカルシウムチャンネル以外のカルシウム流入機構の可能性があり同時に実験を進めている。
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