2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10671557
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Research Institution | NAGASAKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤下 晃 長崎大学, 医学部・附属病院, 講師 (70190030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小路 武彦 長崎大学, 医学部, 教授 (30170179)
石丸 忠之 長崎大学, 医学部, 教授 (20039580)
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Keywords | 子宮内膜症 / 免疫組織染色 / 細胞増殖因子 / 血管新生因子 / 腹水中マクロファージ / サイトカイン |
Research Abstract |
子宮内膜症患者における骨盤腹膜病変では、1998年アメリカ不妊学会の分類により赤色、白色および黒色病変に細分類することが提唱されたが、それぞれの病変による違いが活動性に関与するのか,内膜症の自然史に関与するかは明らかではなかった.私どもは、骨盤腹膜病変の生検材料を用いて増殖因子の(proliferative cell nuclear antigen)、および血管新生因子であるVEGF(vascular endothelial growth factor)を検討した結果、内膜症患者腹水中のVEGF濃度は非内腹症患者に比べ、有意に高値であり、さらに血管新生因子として微小血管の内皮に染色されるendoglinおよびCD68による免疫組織染色を行った結果、endoglinおよびCD68による染色は赤色>黒色>白色病変の順であった。その後もHGF(Hepatocyte Growth Factor)とそのレセプターであるc-Metに注目し、同様な検討を行ったところ、骨盤内膜症病変では色素性病変での活動性は同様な結果となった。 さらに、内膜症患者腹水中のMφを分離培養し、MTT assay法により培養上清中のサイトカインをELISA法により測定した結果、無添加のMφの増殖は培養24時間でピーク値を示した。LPS添加後のMφはLPSのある濃度(5ng/ml)までは容量依存的に増殖した。また、内膜症患者腹水中では、LPS添加でMφを刺激した場合、無添加の場合に比べTNF-α、IL-1、IL-6、IL-8、VEGFおよびHGFの産生は2〜4倍上昇していた。従って、初期の活動性内膜症では豊富なMφが内膜症の増殖に関与している可能性が示唆された。 次に、内膜症と不妊の機序に関して検討した。内膜症が不妊の原因となっていることが示されているが、特定の不妊因子が同定されている訳ではなく、様々な因子が関与していることが示唆されている。そこで、内膜症合併不妊症を対象とし、内膜症と不妊との関係をretrospectiveに検討した。その結果,内膜症のASMR進行期別では妊娠率に差はなく、またチョコレート嚢胞が存在するIII期およびIV期の重症例でも、卵管閉塞や癒着が少ない場合には、妊娠率を低下させないことが明らかとなった。
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[Publications] 藤下 昇, 石丸忠之: "子宮内膜症と不妊"産婦人科治療. 78・2. 165-170 (1999)
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[Publications] 藤下 昇, 宮村泰豪, 蓮尾敦子, 北島道夫, 他: "子宮内膜症の臨床進行期別分類の問題点とその改良案-不妊を伴う内膜所患者におけるTOP分類の再検討"エンドメトリオージス研究会誌. 20・1. 48-53 (1999)
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[Publications] Fujishita A, Hasuo A, Khan KN, Masuzaki H, T Ishimaru: "Immunohistochemical study of angiogenic factors in endometrium and endometriosis"Gynecologic and Obstetrics Investigation. 48・sup.1. 36-44 (1999)
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[Publications] 藤下 昇, 石丸忠之: "子宮内膜症-最近の考え方と治療動向-薬物療法:基本的な考え方"日本臨床 (株)日本臨床社. 59・増刊号. 115-118 (2001)
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[Publications] 藤下 昇, 北島道夫, 竹ノ下由昌, 宮村泰豪, 蓮尾敦子, 他: "子宮内膜症と卵管機能 tubal assessment on endometriois"日本不妊学会雑誌. 46・1. 31-36 (2001)
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[Publications] Fujishita A, Khan KN, Masuzaki H, T Ishimaru: "Influence of pelvic endometriosis and ovarian endometrioma on fertility"Gynecologic and Obstetrics Investigation. 53・Suppl 1. 40-45 (2002)
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[Publications] 藤井信吾, 石丸忠之, 星合 昊編著 共同分担;藤下 昇, 石丸忠之: "子宮内膜症-病態とその治療-診断と治療社"子宮内膜症 10.薬物療法(Medical treatment). 95-106 (2000)