1999 Fiscal Year Annual Research Report
顕微授精における形態良好精子のFISH法による質的検討
Project/Area Number |
10671578
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
星合 昊 近畿大学, 医学部, 教授 (50111290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三橋 洋治 近畿大学, 医学部・附属病院, 講師 (70229748)
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Keywords | IVF&ET / sperm / sterility / FISH / chromosome anomaly / fetilization / microfertilization |
Research Abstract |
【目的】近年、乏精子症、精子無力症は増加する傾向にある。不妊原因の約50%は男性因子と言われている。乏精子症、精子無力症は精子濃度、精子運動率に異常を認めるが、その精子の質的な異常についての報告は少ない。そこで、Three-color FISH(Fluorescence in situ hybridization)法を用いて精子染色体異常につき検討する。さらに,精子調製法による精子の染色体異常率の変化につき報告する。【方法】当科診断基準により正常(精子濃度50×106/m!以上、運動率50%以上)と診断した止常群(A群)6例、精子濃度50×106/ml以下もしくは運動率50%以下の乏精子症か精子無力症のいずれかを認めた異常群(B群)6例を対象とした。さらに、A群B群の両群につき精子調製法としてswim-up法を行い運動良好精子を選別した。これらそれぞれの群においてThree-color FISH法を用い、精子のX、Y性染色体と17番常染色体の異常率を検討した。染色プローブとしてDXZ1、ZYZ1、D17Z1(Oncor社)を用いた。また、染色コントロールにはヒトリンパ球を使用した。【結果】性染色体異常率はA群の0.26%に対して、B群は0.39%と有意に高かった。(P<0.05)。17番常染色体異常率およびDiploid精子率についてはAB両群間に差はなかった。A群ではswim-upにより得られた運動良好精子は、無処理精子と比較し染色体異常率に有意な差は認めなかった。B群ではswim-upにより得られた連動良好精子は、、無処理精子と比較し性染色体異常率、Diploid精子率は有意に低かった。X精子:Y精子はAB両群とも1:1と差はなかった。swim-upによりX精子:Y精子はA群では47.5:52.2、B群では48.0:51.7で両群ともにY精子率が高値であった。【結論】乏精子症・精子無力症症例では性染色体異常率が精液所見正常症例より高かった。また、sw!m-up法により運動良好精子を選別する事により性染色体異常精子やDiploid精子の頻度が低下した。乏精子症・精子無力症では性染色体異常精子率を低下させる方法としてswim'up法は有効な精子調整法であった。しかし、swim'up法で選別した精子中にも染色体異常精子は含まれており完全に除去出来るわけではない。まして顕微受精をはじめ生殖補助技術に通常用いられるような精子は重症の乏精子症・精子無力症であることが多く、染色体異常を持った精子の頻度も増加している可能性がある。また、これらの精子ではswim-up法そのものも困難な場合が多い。従って、実際生殖補助技術に用いるための精子の染色体異常を評価するためには、個々の精子についての個別の染色が必要で、生体染色など新しい染色法の開発も不可欠であると考えられる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Ping Li,Hiroshi Hoshiai: "Detection of Numerical Chromosome Abnormalities in Human Spermatozoa by Three-Color Fluorescence in situ Hybridization"Obstetrics & Gynecology Research. Vol.24(6). 385-392 (1998)
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[Publications] 李 萍.三橋洋治,高瀬規久也.向林学,星合 昊: "FISH法による各種精子調整法回収精子の性染色体異常の検討"日本不妊学会雑誌. 第43巻第3号. 243-247 (1998)
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[Publications] 李 萍,高瀬規久也,向林学,三橋洋治.星合 昊: "男性不妊治療における補中益気湯の有効性について"産婦人科漢方研究のあゆみ. 第14巻1号. 126-129 (1997)
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[Publications] 高瀬規久也,高島忠守,李 萍,向林学,三橋洋治,星合 昊: "産婦人科の当科における体外受精・胚移植(IVF-ET)の黄体期管理"産婦人科の進歩. 第48巻6号. 701-702 (1996)
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[Publications] 李 萍,高瀬規久也,向林学,高島忠守.三橋洋治,星合 昊: "男性不妊における補中益気湯の臨床効果について"産婦人科の進歩. 第48巻4号. 406-410 (1996)