1998 Fiscal Year Annual Research Report
嚥下および嘔吐における上気道運動出力の中枢制御機構に関する研究
Project/Area Number |
10671600
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
梅崎 俊郎 九州大学, 医学部, 助手 (80223600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴 啓介 千葉大学, 医学部, 助手 (40291299)
高木 誠治 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (60284634)
大谷 信二 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (80274596)
進 武幹 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (70080869)
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Keywords | 嚥下 / 嘔吐 / 上気道 / 横隔膜 / 喉頭 / 咽頭 / 延髄 / パターン形成器 |
Research Abstract |
嚥下および嘔吐時の上気道運動筋群への出力パターンを解析するために、無麻酔除脳ネコを用いそれぞれの筋電図活動を記録し分析した。嚥下は上喉頭神経の電気刺激により、嘔吐は催吐剤の投与ならびに迷走神経の電気刺激により誘発した。反射性に惹起される咽頭期嚥下は、喉頭の挙上および閉鎖、鼻咽腔の閉鎖、咽頭管の蠕動的収縮ならびに食道入口部を形成する輪状咽頭筋の弛緩開大により特徴づけられた。一方嘔吐は、律動的な横隔膜と腹筋の共縮によって特徴づけられるretch期と最終的に胃内容物を口腔より吐出するexpulsion期に分けることができた。またretch期には喉頭の声門閉鎖筋にも横隔膜と同期した活動が認められた。すなわち、声門閉鎖による胸腔の閉鎖腔化と同期して横隔膜および腹筋が共縮することにより胸腔には陰圧を、腹腔には陽圧を発生し、嚥下とは逆向きの推進力を生じているものと考えられた。さらにexpulsion期の後半期には咽頭収縮筋群は一斉に収縮活動を示し、嚥下と類似の活動が認められた。 これら嚥下および嘔吐の運動出力が、脳幹のパターン形成器により中枢性に発生していることを確認するために、動物を筋弛緩剤により完全に非動化し実際の運動とそれによる固有知覚のフィードバックを排除した'fictive'運動モデルを用いて各上気道筋を支配する運動神経線維よりneurogramを選択的に導出しその出力パターンを解析した。その結果、嚥下は嘔吐に比し末梢知覚のフィードバックの有無によらず、よりステレオタイプな出力パターンを示すことが明らかになった。また、嘔吐の最終段階でみられる上気道筋群の活動は嚥下とは本質的に異なること、嘔吐と嚥下のパターン形成機構は中枢内で密接に連係していることなどが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Umezaki,T.: "Behavirs of hypoglossal hyoid motoneurons in laryngeal and vestibular reflexes and in deglutition and emsis." Am.J.Physiol.274(4Pt2). 950-955 (1998)
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[Publications] Umezaki,T.: "Upper airway motor outputs during vomiting versus swallowing," Brain Res. 781. 25-36 (1998)