1998 Fiscal Year Annual Research Report
耳石器選択刺激及び片側破壊における前庭神経核内Fos蛋白の分布
Project/Area Number |
10671616
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
今川 美登里 東京医科大学, 医学部, 助手 (50074646)
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Keywords | Fos蛋白 / 前庭神経核ニューロン / 耳石器 / モルモット |
Research Abstract |
モルモットの球形嚢片側破壊と選択的電気刺激を行い、前庭神経核ニューロンに発現するFos蛋白の分布を調べ、球形嚢神経の支配を受けるニューロンの特徴を検索することを目的とした。 1. 前庭破壊または電気刺激用電極刺入するための麻酔条件 ネンブタール麻酔下では苦痛を与えず生命を維持して外科的処置を行うのは困難であった。ケタラール・硫酸アトロピン・キシラジン・塩酸クロルプロマジンの混合麻酔を用いることにより安定した処置が可能であった。 2. 対照実験での前庭神経核内でのFos蛋白の発現 実験動物の外界からの刺激に対する反応を調べるため、静かな暗室に3時間放置した。結果前庭神経核内にFos蛋白は発現しなかった。しかし麻酔の影響により前庭神経核内にFos蛋白は発現した。麻酔の影響は特に内側核に多く発現した。 3. 電気刺激によるFos蛋白の発現 左側内耳に双極銀線電極を刺入し、500μAで15分間刺激し、1時間後のFos蛋白は発現を調べた。刺激側と反対側との前庭神経核ニューロンに発現するFos蛋白に差異は認められず、ほとんどの左右前庭神経核ニューロンにFos蛋白が発現していた。 以上の結果より、片側刺激に対して前庭神経核ニューロンのFos、蛋白の発現に刺激側と反対側に明らかな差異は認められなかったが、内耳を刺激することにより前庭神経核ニューロンにFos蛋白が発現することが明らかになった。ラットにおいてKaufman(1992)らは主に内側核に発現を認めたが、モルモットでは内側核だけでなく外側核・下枝でもFos蛋白が発現していた。
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