1999 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚器の発生および再生時における神経線維回路網形成に関する蛋白分子の解析
Project/Area Number |
10671624
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
瀬尾 徹 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (30258149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 光一 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10212127)
阪上 雅史 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10170573)
八田 千広 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (00289076)
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Keywords | 聴覚器 / 神経細胞 / 有毛細胞 / 電子顕微鏡 / 免疫組織化学 / NCAM-H / 細胞分裂 / アポトーシス |
Research Abstract |
聴覚器における神経細胞、および有毛細胞の発生時における神経成長因子や神経細胞接着因子の影響を調べた。実験にはヒヨコを用いた。発生には鶏卵を経時的に固定した。免疫組織学検索には神経成長因子としてb-FGF,NGFを、神経細胞接着因子としてNCAM,NCAM-Hを用いた。また神経細胞の分裂の指標としてPCNAを、分化の指標としてMAP-2を用いた。これと同時に微細構造の変化を調べるため透過型電子顕微鏡を用いて観察を行った。 発生5目目にはラセン神経節細胞が形成されてきた。この時ラセン神経節細胞は分裂と細胞死を起す現象が認められた。PCNA陽性細胞や核分裂細胞が約2割の割合で出現していた。細胞死はアポトーシスと考えられた。核の変異した細胞やTUNEL法陽性細胞が約2割認められた。このことから神経節細胞は細胞分裂により細胞を増やしている反面、細胞死により分裂に失敗した細胞や過剰分裂した細胞は排除されることが判明した。神経節細胞の分裂に影響を及ぼす因子について調べたところ、微小管結合因子であるNCAM-Hがラセン神経節細胞に陽性に認められた。しかしb-FGFやNGFは出現していなかった。このことより神経節細胞の分裂には神経細胞成長因子の影響を受けないことが判明した。発生8日目にはラセン神経節細胞から神経線維が伸びている所見が電子顕微鏡所見やニューロフィラメントの免疫組織化学にて確認した。この時、ラセン神経節細胞には分裂像や細胞死は認められなかった。この神経節細胞の神経線維伸長期にもNCAM-Hが神経節細胞と神経線維に認められた。またMAP2も神経節細胞に陽性であった。このことより神経節細胞の分化の因子はMAP2とNCAM-Hであることが確認できた。しかし、b-FGFやNGFは陰性であり神経成長因子は関与しないことが判明した。発生10目目には有毛細胞の分裂、分化が始まっていた。有毛細胞も分裂と細胞死により調整されていた。この時、NCAM-Hが神経細胞と有毛細胞とのシナプスに認められた。このことよりNCAM-Hは神経線維が将来結合すべき有毛細胞を探す働きをしていることが判明した。
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Research Products
(2 results)