1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10671629
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
石黒 誠一 弘前大学, 農学生命科学部, 助教授 (20111271)
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Keywords | 11-cis-retinol / all-trans-retinol / 異性化 / 視細胞外節 / ロドプシン / リン脂質 / 視サイクル |
Research Abstract |
ウシ網膜から精製した視細胞杆体外節を11-cis-retinolと反応させた。反応溶液から、ヘキサンを用いてretinolを抽出し、蛍光光度計を接続した高速液体クロマトグラフィーを用いて溶液中のretinolを解析した。この結果、視細胞杆体外節により、11-cis-retinolからall-trans-retinolおよび13-cis-retinolへの異性化が起こることが確認された。13-cis-retinolの生成は、all-trans-retinolの生成後はじめて確認されることから、11-cis-retinolからall-trans-retinolが生じ、13-cis-retinolはこのall-trans-retinolから生成するものと考えられた。11-cis-retinolと反応させる前に、視細胞杆体外節を熱処理することにより、この異性化反応は抑制されることなく、むしろ促進され、既知の熱に不安定な視サイクル酵素の関与は否定された。all-trans一retinolの生成は、11-cis-retinolの濃度に比例して増加した。視細胞杆体外節の濃度に関しては、10nmolesの11-cis-retinolを用いた場合、視細胞杆体外節0.1mgまでは、all-trans-retinolの生成はその濃度に比例して増加し、0.3-0.4mgで平衡に達した。視細胞杆体外節による11-cis-retinolからall-trans-retinolへの異性化の最大反応速度は、78.7nmoles/min/mg proteinであった。これは、視サイクルでおこるall-trans-retinalからall-trans-retinolへの変換速度に比し極めて速かった。11-cis-retinolからall-trans-retinolへの異性化反応に関与する視細胞杆体外節中の分子を同定するために、視細胞杆体外節の主成分であるロドプシンとリン脂質をそれぞれ視細胞杆体外節より精製し、11-cis-retinolと反応させたところ、ロドプシンによりall-trans-retinolへの異性化がおこり、リン脂質では反応は認められなかった。ロドプシンをオプシンの形に変えて11-cis-retinolと反応させると、all-trans-retinolの生成は1.5倍になり、視細胞杆体外節による場合とほぼ同様の反応が得られた。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Takako Shimizu,Sei-ichi Ishiguro,Makoto Tamai: "Isomerization of 11-cis-retinol to all-trans-retinol in bovine rod outer segments." The Journal of Biochemistry(Tokyo). 123. 953-958 (1998)