1999 Fiscal Year Annual Research Report
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10671629
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Research Institution | HIROSAKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
石黒 誠一 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (20111271)
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Keywords | 11-cis-retinol / all-trans-retinol / 異性化 / 視細胞外節 / ロドプシン / リン脂質 / 視サイクル |
Research Abstract |
我々が研究対象としている外節に存在する異性化反応は、2つの点で重要であると考えられる。1つは、11-cis-retinolを視細胞間間隙から除くという点である。実際に視サイクルで形成される11-cis-retinolが視細胞間間隙に存在し、電気生理学的な研究では、外から投与した11-cis-retinolは桿体視細胞の光受容感度の回復を抑制する事が知られている。従って、速やかに11-cis-retinolをall-trans-retinolにして排除してやる必要性がある。もう一つは、貪食された外節の11-cis-retinalを視サイクルに戻すという点である。網膜では光照射後約2時間後に、色素上皮細胞による桿体外節の貪食がピークに達する。取り込まれた外節ロドプシンの11-cis-retinalは、色素上皮細胞内にある11-cis特異的脱水素酵素により11-cis-retinolに変換され、さらに11-cis-retinol→all-trans-retinolの反応は新たに見出された外節に存在する異性化反応により視サイクルの最初の段階に戻される。我々は、桿体外節を分離し、その中のリン脂質および蛋白質成分のうちいかなる成分がこの異性化反応を担っているのかを調べ、リポソームを作成して生体膜の再構築を行いその調節機構を調べることを目的とした。 桿体外節のオプシンに異性化反応の活性が存在することが判明したが、可溶化した外節では異性化反応活性が著しく低下した。精製したオプシンと11-cis-retinolにリン脂質を加えて反応を行うと、異性化反応は抑制された。リン脂質として、桿体外節より抽出したリン脂質、市販されているリン脂質(フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルコリン、フォスファチジルセリン、フォスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン)を用いたが、すべてに異性化反応に対する抑制効果が認められ、中でもフォスファチジルセリンが最も強い抑制効果を示した。桿体外節より抽出したリン脂質は、超音波で緩衝液中に混和して用いた場合と、リポソームの形で用いた場合で、その抑制効果に差は認められず、この抑制効果には用量依存性が認められた。フォスファチジルセリンと炭素鎖の長さが異なる合成フォスファチジルセリンを用いて抑制効果を比較する実験を行ったが、すべてフォスファチジルセリンと同様の抑制効果を示した。生体内ではフォスファチジルセリンが細胞膜の内膜に局在しているため、オプシンの活性部位に影響は与えないが、リン脂質の構築を破壊するとフォスファチジルセリンがオプシンに作用し、異性化反応は見られなくなると考えられた。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Takako Shimizu, Sei-ichi Ishiguro, Makoto Tamai: "Isomerization of 11-cis-retinol to all-trans-retinol in bovine rod outer segments"The Journal of Biochemistry (Tokyo). 123. 953-958 (1998)