1998 Fiscal Year Annual Research Report
角膜内皮細胞移植:培養細胞の導入遺伝子発現制御による細胞生理学的研究
Project/Area Number |
10671633
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大鹿 哲郎 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (90194133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 史郎 東京大学, 医学部・附属病院, 講師
新家 眞 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (00092122)
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Keywords | 角膜内皮細胞移植 / 角膜内皮細胞 / 増殖能 / 細胞培養 / 再構築角膜 / 細胞周期 |
Research Abstract |
角膜内皮細胞移植を行うにあたり、ヒト角膜内皮細胞の培養及び保存方法を確立する必要がある。そこでまず母角膜の年齢が培養保存後の細胞に与える影響を検討した。初代培養は母角膜の年齢3歳から61歳,すべての年齢に渡り可能であった。このことは、将来患者自身の自己角膜培養の可能性を示唆している。ただし、継代培養後の細胞の定常状態における形態は、年齢の増加に比例して細胞面積の増加つまり細胞密度が減少する傾向にあった.この事実は角膜内皮細胞移植を行うにあたり出来るだけ若年母角膜の細胞が有利であることを示している。角膜内皮細胞移植を実際に臨床応用するためには、保存角膜実質と保存角膜内皮細胞を用いた角膜の再構築が必須となる。そこで継代培養した培養内皮細胞を、凍結保存したヒト角膜実質に播種し、角膜内皮細胞層の再構築過程の経時変化を組織学的に検討した。その結果,培養内皮細胞は培養後0.5時間後にはすでにデスメ膜上に接着し、3時間後には一層の角膜内皮細胞層を形成した。48時間後には細胞間接着装置も観察され,組織学的には正常内皮細胞層と同等の組織像を呈していた。また角膜実質のみでは初期より角膜浮腫が観察されたのに対して、再構築角膜では正常に保たれていた事より、再構築内皮細胞層は正常内皮細胞層と同様の柵機能や生理機能を有していると考えられた。ここで問題となるのは培養条件下で旺盛な増殖能を有する培養角膜内皮細胞の角膜実質上で増殖動態である。そこでサイタリンを指標に細胞周期の検討を行った。その結果、培養内皮細胞は培養皿上ではM期、G1期、S期、G2期のすべての細胞周期が確認されたが、角膜実質上ではG1期のみであり、正常角膜内皮細胞と同様であった. 以上により角膜内皮細胞の培養及びその保存、保存角膜実質を使用した再構築角膜作成方法が確立された。今後はこの再構築角膜を使用した角膜移植法の検討を行う予定である。
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