2000 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性皮膚炎に合併する網膜剥離・白内障の発生機序に関する研究
Project/Area Number |
10671654
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
樋田 哲夫 杏林大学, 医学部, 教授 (40129622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺木 祐一 杏林大学, 医学部, 講師 (10188667)
藤原 隆明 杏林大学, 医学部, 教授 (20096259)
塩原 哲夫 杏林大学, 医学部, 教授 (10118953)
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 網膜剥離 / 白内障 / 硝子体手術 / アポトーシス / 平滑筋アクチン |
Research Abstract |
アトピー性網膜剥離については、硝子体基底部付近の裂孔を特徴とする網膜剥離の形態、発生頻度の増加、都市部に多い傾向などの特徴を報告した。さらに予後不良例を検討し、白内障手術時め手技や合併症、硝子体手術時の不十分な後部硝子体剥離作成が大きな問題となることを明らかにした。そして、術前に網膜剥離所見のない症例の白内障時の眼底所見や白内障手術時の網膜皺壁部裂孔からの網膜剥離拡大の危険性などを観察し、全国で指導的立場にある医師の治療方針や手術方法などを調査した。その結果、現状では治療法のバリエーションの問題が多いために医原性に網膜剥離を悪化させている可能性が疑われ、これを予防する必要性を報告した。病因については病歴や網膜裂孔の形態から外傷が大きく関与していることは推測される。しかし、他の網膜剥離と異なる炎症因子について、手術中に採取した硝子体液のサイトカインなどの計測をしたが、特徴は確定できていない。現在、手術中に採取した結膜の炎症性変化合併の有無を検討している。 アトピー性白内障について、手術で採取した白内障前嚢を病理組織学的に検討した結果、前嚢下混濁の線維性混濁周囲の細胞密度の低下と線維性混濁領域での細胞の凝集と重層化を観察した。免疫組織学的にその部でのα平滑筋アクチンの発現がみられた。また、TUNNEL染色陽性の所見も得られ、線維性混濁の進行とともにアポトーシスによる細胞死も生じることが認められた。このような所見は加齢性白内障の成熟期(進行例)や外傷性白内障に合併した前嚢下白内障と共通する変化であった。したがってアトピー性白内障は若年で明らかな外傷がなくても早期から上皮細胞の病的な増殖性変化が誘導される環境で生じていることが確認された。さらに水晶体嚢の周辺で上皮の増殖性変化を誘発する炎症性サイトカイン因子などについて検討中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 平形明人: "アトピー性皮膚炎に伴う網膜剥離"あたらしい眼科. 17・12. 1613-1618 (2000)
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[Publications] 永本敏之,平形明人: "アンケート結果にみるアトピー性白内障と網膜剥離の治療上の問題点"あたらしい眼科. 17・12. 1619-1628 (2000)
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[Publications] 永本敏之: "アトピー性白内障"あたらしい眼科. 17・12. 1607-1612 (2000)