アレルギー性眼疾患の重症化にかかわる眼局所免疫機構の解析

1998 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 10671659
• Research Institution: Tokyo Women's Medical University
• Principal Investigator: 高村 悦子 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (90197202)
• Keywords: アレルギー性眼疾患 / 角膜上皮障害 / サイトカイン / ケモカイン / ELISA法 / アレルギー性結膜炎 / 春季カタル / アトピー性角結膜炎

Research Abstract

春季カタル、アトピー性角結膜炎などの重症なアレルギー性眼疾患における角膜上皮障害の病態を解明する目的で、アレルギー性炎症に関与するサイトカインの眼局所での局在を角膜上皮障害の重症度と比較し検討した。
IL-4は季節性アレルギー性結膜炎、春季カタル、アトピー性角結膜炎など角膜上皮障害の有無に関わらずアレルギー性結膜炎患者の涙液中に高率にみとめられた。IL-5は、角膜潰瘍や点状上皮性角膜症などの角膜上皮障害潰瘍を伴う春季カタル、アトピー性角結膜炎で高率に陽性をしめした。IL-13,GM-CSFは角膜潰瘍を伴う重症なアトピー性角結膜炎患者の一部の涙液中に認められたが、軽症のアレルギー性結膜炎、正常コントロールにおいては認められなかった。
また、アレルギー性結膜炎患者の涙液中には、好酸球のケモカインのーつであるRANTESが正常コントロールに比べ高率に陽性を示し、なかでも角膜潰瘍を伴う春季カタル、アトピー性角結膜炎では、角膜上皮障害を伴わないアレルギー性結膜炎に比べ、高値を示す傾向があった。また、角膜潰瘍を伴うアトピー性角結膜炎患者の涙液中Eotaxin濃度は、点状上皮性角膜症を伴うアトピー性角結膜炎患者および正常コントロールに比べ有意に高値をしめした。
角膜上皮障害を有する重症のアレルギー性結膜炎涙液中のサイトカインおよびケモカインの発現の上昇は、アレルギー性眼疾患の角膜上皮障害の一因となっている可能性が示唆された。