2000 Fiscal Year Annual Research Report
アレルギー性眼疾患の重症化にかかわる眼局所免疫機構の解析
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10671659
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University School of Medicine |
Principal Investigator |
高村 悦子 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (90197202)
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Keywords | アレルギー性眼疾患 / 眼誘発試験 / サイトカイン / ケモカイン / 好酸球 / ENSA法 / RT-PCR法 / アトピー性角結膜炎 |
Research Abstract |
眼誘発試験は、アレルギー性結膜炎患者の無症状期に一定濃度のアレルゲンを点眼し、結膜局所に1型アレルギー反応を再現する方法で、スギ花粉症などの季節性アレルギー性結膜炎患者では、花粉の非飛散期に希釈したスギ抗原を点眼する眼誘発試験によってアレルギー性結膜炎の病態を再現することが可能である。今回、季節性アレルギー性結膜炎の好酸球とケモカインの関連を検討するために、臨床所見および血清学的検査にてスギ特異的IgE抗体が陽性であったスギ花粉性アレルギー性結膜炎患者10例にスギ花粉非飛散期である10月から12月にスギ抗原による眼誘発試験をおこない、涙液中の炎症細胞、ケモカインの推移を検討した。至適濃度のスギ抗原点眼による眼誘発試験により全例、10分後に眼掻痒感、充血などアレルギー性結膜炎の主症状が出現したが、好酸球がみとめられたのは6例であり、そのうち2例において涙液中エオタキシンが検出された。 角膜上皮障害を伴う重症型の春季カタル、アトピー性角結膜炎においては、結膜、涙液、角膜における好酸球浸潤また、好酸球に選択的性のあるケモカインであるエオタキシンの関与があきらかになってきている。そこで、結膜組織におけるケモカインの発現を検討するために、治療のために切除された角膜潰瘍を伴う春季カタル患者の上眼瞼の巨大乳頭組織と、点状表層角膜症を伴うアトピー性角結膜炎患者の上眼瞼結膜からブラッシュサイトロジーにより採取した細胞に対し、RT-PCR法によりサイトカインの発現を検討した。エオタキシンの発現は春季カタルの巨大乳頭組織にのみみとめられた。 ブラッシュサイトロジーで採取された上皮細胞からは発現をみとめなかったことから、重症型アレルギー性眼疾患におけるエオタキシンの産生は結膜下組織中である可能性が示唆された。
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