1999 Fiscal Year Annual Research Report
眼内増殖性疾患、網膜変性疾患の遺伝子治療と網膜色素上皮移植
Project/Area Number |
10671662
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
緒方 奈保子 関西医科大学, 医学部, 講師 (60204062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田 安史 大阪大学, 大学院・医学研究科・遺伝子治療講座, 教授 (10177537)
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Keywords | 遺伝子治療 / 血管新生 / 網膜色素上皮細胞 / HVJ-リポソーム法 / オリゴヌクレオタイド / 転写因子 / VEGF / bFGF |
Research Abstract |
1. ラット眼底に強度光凝固を施行し,脈絡膜新生血管を発生させた。この脈絡膜新生血管発症モデルに外来遺伝子であるLacZ遺伝子をhemagglutinating virus of Japan(HVJ)-リポソーム法で硝子体内注入により導入した。脈絡膜新生血管発生部の網膜色素上皮細胞など増殖した細胞にβガラクトシダーゼ活性がみられ、HVJ-リポソーム法でLacZ遺伝子を脈絡膜新生血管に導入できた。さらに、2重鎖核酸(デコイ型核酸)をHVJ-リポソーム法を用い脈絡膜新生血管発症モデルに硝子体内注入で導入できた。特異的配列をもったデコイ型核酸は転写因子の作用を阻害することができる。我々は、脈絡膜新生血管の発生進展に、vascular endothelial growth factor(VEGF)などのサイトカインが関与することを平成10年度科研費実績報告書で報告している。HVJ-リポソーム法でデコイ型核酸を導入し、血管新生に関与するサイトカインを抑制、脈絡膜新生血管の治療が可能であることが示された。2. 網膜色素上皮細胞にbasic fibroblast growth factor(bFGF)遺伝子もしくはアンチセンス遺伝子を導入し、遺伝子導入された細胞をクローン化することができた。この結果から、網膜色素上皮細胞に遺伝子を導入し、目的とする蛋白を強く発現する網膜色素上皮細胞を作成することが可能である。臨床的に脈絡膜新生血管の手術的治療として脈絡膜新生血管の抜去術が行われる。しかし、脈絡膜新生血管の抜去後、網膜色素上皮細胞の欠損部ができ、視機能の面で改善のみられないことが多く、遺伝子導入した網膜色素上皮細胞の移植により、より有効な脈絡膜新生血管の治療を行える可能性が強くなった。
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[Publications] Wada M,Ogata N et al.: "Expression of Vascular Endothelial Growth Factor and its receptor (KDR/flk-1) mRNA in Experimental Choroidal Neovascularization"Current Eye Research. Vol.18No.3. 203-213 (1999)
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[Publications] Ogata N,Otsuji T, et al.: "Phosphorothioate Oligonucleotides Induction into Experimental Choroidal Neovascularization by HVJ-Liposome System."Current Eye Research. 18. 261-269 (1999)
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[Publications] Ogata N,Nishizawa M et al.: "Transfection of basic Fibroblast Growth Factor (bFGF) gene or bFGF Antisense Gene into Human Retinal Pigment Epithelial Cells"Graefe's Arch Clin Exp Ophthalmol. 237. 678-684 (1999)
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[Publications] Otsuji T,Ogata N, et al: "In vivo gene transfer into choroidal neovascularization by the HVJ liposome method."Graefe's Arch Clin Exp Ophthalmol. (in press). (2000)
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[Publications] 緒方 奈保子: "眼科診療プロクテス 眼研究の最前線 脈絡膜新生血管とサイトカイン-遺伝子治療による制御へ"文光堂 編集者 田野保雄. 6 (2000)