1999 Fiscal Year Annual Research Report
トランスジェニックマウスを用いたPNETとヒルシュスプルング病の遺伝子連関の解析-導入遺伝子と細胞周期制御遺伝子の相互連関からみた病因論の研究-
Project/Area Number |
10671665
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金子 道夫 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (60152807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 芳夫 名古屋大学, 医学部, 助手 (80201242)
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Keywords | トランスジェニックマウス / アデノウィルス12型 / E1 / PNET / EWS / ETS / キメラ遺伝子 |
Research Abstract |
ヒトレニンプロモーターとadenovirus12型E1の融合遺伝子を組み込んだtransgenic(TG)マウスでは,約90%に特異的にPNETが発生する。この腫瘍は神経腫瘍マーカーを用いた免疫組織染色でPGP9.5とneurofilament proteinに陽性、MIC gene product(MIC2)に陰性であった。MIC2はヒトPNET/Ewing肉腫できわめて高率に陽性となり、その蛋白は30kDaと32kDaの、細胞膜表面に存在するglycoproteinである。そこで、ウェスタンブロット法によりTGマウス発生腫瘍中のMIC2蛋白の有無を調べた結果、30kDaと32kDaのMIC2蛋白が産生されていた。PNET/Ewing肉腫では、特異的な染色体転座t(11;22),t(21;22),あるいはt(17;22)と、それに伴うキメラ遺伝子EWS/FLI1,EWS/ERG,EWS/ETV1あるいはEWS/E1AFが見いだされ、RT-PCR法によるキメラ遺伝子の検出がPNET/Ewing肉腫の診断にきわめて有用である。TGマウス発生腫瘍からmRNAを抽出後cDNAを合成し、各キメラ遺伝子の領域のプライマーを用いてPCRを行ったが、TGマウスの腫瘍からは、いずれのキメラ転写産物も検出されなった。さらに、ノーザンブロット法で、RNAレベルでのTGマウス腫瘍のEWS変異を調べたが、腫瘍のEWSに異常はなかった。したがって、TGマウスに発生するPNETでは、ヒトで見られるEWS遺伝子とETS family遺伝子の融合は生じていないと考えられた。99年9月のNature Medicine誌でSanchez-Prieto等は、ヒトadenovirus5型のE1A遺伝子を導入、発現させたヒトのfibroblastやkeratinocyteで、PNET/Ewing肉腫に特異的な融合転写産物であるEWS-FLI1を検出したと報告し、E1Aが染色体転座t(11;22)を起こした可能性を示唆した。この論文に対しては反論も多く、結論は出ていないが、adenovirus12型E1を組み込んだ我々のTGマウスに発生するPNETでも、EWSのようなRNA結合遺伝子と未知のETSfamily遺伝子が融合している可能性はあると考えられる。
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Research Products
(2 results)