1999 Fiscal Year Annual Research Report
幼ブタを用いた生体内分離肝灌流中の肝代謝と肝の末梢循環に関する研究
Project/Area Number |
10671667
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
瀬尾 孝彦 名古屋大学, 医学部, 助手 (60262911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸井 祐二 名古屋大学, 医学部, 医員
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Keywords | 人工臓器 / 臓器還流 / 生体内分離肝灌流 / 臓器温存 / 肝代謝 / 体外循環回路 / 自動制御血液ポンプ / 小児 |
Research Abstract |
今年は、平均体重が8.9kgの離乳直後の雌の幼ブタ9頭に、新生児用高木式自動制御血液ポンプと膜面積0.5m^2の膜型人工肺を接続した回路による、肝静脈-門脈バイパスによる生体内分離肝灌流を施行した。肝灌流量を20ml/min/kgに維持し4時間まで還流し、灌流開始直後、灌流1時間から4時間まで各時間毎に灌流血と肝組織を採取し、代謝学的変化を生化学的、組織学的に調べた。グルコース濃度は、還流液にグルコースを含有しない輸液組成では、直後が平均505mg/dl、2時間後379mg/dl、4時間後258mg/dlと徐々に下がるのに対し、5%グルコース濃度の還流液では、直後が1,015mg/dl、2時間後1,530mg/dl、4時間後1,960mg/dlと著明な高血糖で、しかも時間とともに上昇した。一方、5%グルコース濃度の還流液にヒトレギュラーインスリンを1単位/5ml添加した場合は、直後が665mg/dl、2時間後800mg/dl、4時間後900mg/dlと高血糖が抑えられ、時間による上昇も軽度となった。肝の微細構造は全群で保たれたが、インスリン無添加群ではグリコーゲン顆粒の枯渇が目立った。総蛋白とアルブミン、総コレステロールは時間の経過とともに低下したが、著明ではなく、インスリン添加群、無添加群ともに同様の傾向を示した。 今後は、還流液のグルコース濃度とインスリン添加量を変化させ、グルコース、総蛋白、アルブミン、総コレステロール値がどのように変化し、電子顕微鏡による肝細胞の観察に変化がないかを検討していく予定である。
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[Publications] 瀬尾孝彦: "乳・幼児期の腹部救急疾患"日本腹部救急医学会雑誌. 19巻3号. 563-570 (1999)
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[Publications] Takahiko Seo: "Acute respiratory failure associated with intrathoracic masses in neonates"Journal of Pediatric Surgery. 34巻11号. 1633-1637 (1999)