1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10671687
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
平瀬 雄一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (00181157)
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Keywords | 同種移植 / 凍結保存 / 人工血管 |
Research Abstract |
本研究は生体より採取した血管を凍結することで,その長期保存を可能にし,凍結によって抗原性を低下させ移植後の免疫反応を喚起させないような人工血管を開発することを目的とし、1988年以来研究をすすめてきた。それは次の4つの大きな項目に分かれている。 1. 動物実験による血管の凍結保存と移植 2. 移植血管の上皮化の観察およびその数値化のためのシステム開発 3. その結果に基づく簡便な凍結保存法の確立 4. 簡便な凍結保存法によって移植された血管の上皮化の数値化とその評価 平成10年度は従来の複雑な凍結法によって保存し移植された血管の走査電顕の資料をもとに凍結・保存・移植の各々の過程における血管内皮の状態の数値化をおもにおこなった(上記項目2に該当)。その結果,従来法では、凍結操作のみで46.5-60.3%の内皮細胞破壊がみられ、長期保存による破壊は少なく (0-28%)、最終的には長期凍結保存により28.6-50.0%の内皮細胞温存率を得た。さらに,移植後の最終観察では81.0-133.3%の上皮化率を得ていることがわかった。この数値を基に、より簡便な凍結保存(プログラミングコンピューターによる複雑な温度管理を必要としない方法)を行った血管の移植後の上皮化率の評価を平成11年度の主な実験項目とする予定である(項目上記3、4)。10年以上に及ぶ現在までの実験結果から類推するに、比較的径の大きい血管の凍結保存には複雑な凍結操作は必要なく、浮腫を起こさないような解凍操作がより重要であると考えられる。さらに、手作業でカウントしたこれらの数字を基に、一定の条件を満たした細胞の数を自動的にカウントするコンピューターソフトの開発も並行して現在行っている(上記項目2)。
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