1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10671688
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
野崎 幹弘 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (70086586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片平 次郎 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (70277151)
寺田 伸一 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (70246586)
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Keywords | 人工血管 / ポリウレタン / 皮弁 / 形成外科 / 血管吻合 |
Research Abstract |
本研究は遊離組織移植術に適した微小血管系をターゲットとした小口径人工血管を開発することを目的としている。本年度ではポリウレタンチューブの抗血栓性を向上させるために、HEMA-Styreneおよびアルガトロバンのコーティングを施した小口径人工血管を作成した。これを高流速系として家兎頚動静脈シャントモデルおよび低流速系として家兎下大静脈モデルに移植し、開存性の検討を行った。家兎動静脈シャントモデルでは非コーティング群が3.4±0.8日、HEMA-Styreneコーティング群が6.8±1.2日、HEMA-Styrene/アルガトロバンコーティング群が9.4±1.0日であった。また、低流速モデルの静脈系では1週間の開存性が非コーティング群で0%、HEMA-Styreneコーティング群で56%、ヘパリンコーティング群で67%、HEMA-Styrene/アルガトロバンコーティング群で100%であった。抗血栓性高分子材料のHEMA-Styreneや抗凝固剤のアルガトロバンを徐放することによってポリウレタンチューブの開存性が著明に改善することが明らかになった。さらに遊離皮弁では微小な動脈と静脈に人工血管を移植する必要があるため、動物モデルとして家兎下腹壁皮弁をドナーとし、腹腔内の腎動静脈をレシピエントとして人工血管を移植するモデルを作成し、動静脈にHEMA.Styrene/アルガトロバンコーティングのポリウレタン人工血管を使用した。現在までに20皮弁に対して人工血管移植を施行し、遊離皮弁の生着率は60%、人工血管の開存率は動脈側で40%、静脈側で25%であった。ポリウレタンチューブは素材としてやや堅いため、血管縫合を行わず、生体血管内に挿入固定しているため、コンブライアンスの不一致が深刻な影響を及ぼしていると考えられた。そこで、小口径の延伸ポリテトラフルオロエチレン人工血管を血管吻合手技を用いて、ポリウレタン人工血管との開存性を比較検討している。 また、生物系小口径人工血管として感温性ディッシュを用いた内皮細胞培養を行った。現在、長肌保存のための内皮細胞冷凍保存法とそのviabilityを検討している。
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[Publications] Shinichi Terada et al: "Experimental Study of ectopic free tissue franster of rabbit epigastric flap using small-caliber naswla gratts" Toumal of Biomedical Materials Research. 45. 28-35 (1999)
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[Publications] 根岸直樹、野崎幹弘: "材料に対する生体の免疫応答" バイオマテリアルと生体-副作用と安全性. 478-500 (1998)