1999 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼器官とその制御中枢の発達・老化および恒常性維持に関する基礎的研究
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10671701
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
前田 憲彦 広島大学, 歯学部, 教授 (60049418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末宗 節子 広島大学, 歯学部, 教務員 (80112209)
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Keywords | 咀嚼システム / 発達と性差 / 男性ホルモン / 女性ホルモン / 三叉神経運動核 / ニューロン数 |
Research Abstract |
咀嚼システムは栄養摂取の窓口として極めて重要な役割を果たしている。したがって、健全は咀嚼システムの発達と。老化、および恒常性の維持に関する基礎的知見を得ることが歯科医学の発展と国民の健康保持への貢献において極めて重要な課題である。我々はこれまでに遺伝的に歯の萌出がみられず、歯根膜の殆ど発達しないop/opマウスを用いて、歯根からの知覚入力が咀嚼システムの発達と老化にいかなる影響を与えるかについて解析してきた。また、平成10年度において性ホルモンが三叉神経運動核の発達に関与している可能性が示唆されたため、平成11年度においては、男性ホルモンであるdihydrotestosteroneと女性ホルモンであるestoradiolが三叉神経運動核の発達にいかなる影響を与えるかについて、ICRマウスを用いて具体的な解析を行った。さらに、男性ホルモンの拮抗薬であるcyproterone acetateが男性ホルモン作用を疎外するかどうかについても検討を行った。 女性ホルモンを発達期の雄マウスに投与した場合、咬筋神経を支配する三叉神経運動核のニューロン数を有意に減少させ、cyproterone acetateはさらにニューロン数の減少をひき起こした。これに対して、雌マウスに対する男性ホルモンの投与は有意にニューロン数を増加させた。女性ホルモン投与によるニューロン数の有意な増減は観察されなかった。一方、従来の研究で性差の観察されなかった三叉神経中脳路核のニューロン数に対して、性ホルモンの効果は全く観察されなかった。以上の結果より、性ホルモンが咬筋を支配する三叉神経運動核ニューロンの雄雌における数の決定に関与していることが強く示唆された。
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