Research Abstract |
平成11年度の研究実績報告 【材料および方法】 C26細胞をtissue culture dishにそれぞれ2×10^5個ずつ播種し,10%fetal bovine serum(FBS)と抗生剤を含むα-MEMを用い,24時間培養した後,山之内製薬より供与を得たrhBMP-2(0.5μg/ml)を添加し,3,6,9日間にわたってそれぞれ培養した後,細胞を回収した。これらの細胞を洗滌後,FBSの濃度を1%とし、培地にTGF-β1(0,0.1,1.0,5.0,10.0ng/ml)を添加し,24時間培養後,細胞を回収した。回収した細胞からRNAを抽出し,[α-^<32>P]dCTPで標識したラットdecorinまたはbiglycan cDNAプローブを用い,biglycanとdecorinのmRNAの発現をノーザンブロット法を用いて分析した。また,回収した細胞のalkaline phosphatase活性値の測定には基質としてp-nitrophenyl phosphateを用いた。 【成績】 rhBMP-2添加によって分化を誘導した細胞の培地からrhBMP-2を取り除き,TGF-β1を投与すると,濃度依存性に,分化を誘導した細胞のdecorinの遺伝子発現は顕著に抑制されたが,biglycanの遺伝子発現には影響が認められなかった。また,TGF-β1の添加によって,分化を誘導した細胞のalkaline phosphatase活性値は減少した。 【考察および結論】 平成10年度には,C26細胞にrhBMP-2投与によって誘導された細胞分化の促進に伴い,alkaline phosphatase活性の増加とdecorinの遺伝子発現の現象が認められたが,biglycanの遺伝子発現は有意な変化を示さず,一定であったことを報告した。一方,平成11年度には,TGF-β1は分化過程にあるこれらの細胞に対して,alkaline phosphatase活性とdecorinの遺伝子発現を抑制するが,biglycanの遺伝子発現には影響を与えないことを確認した。以上のことから,BMP-2とTGF-β1は,骨芽細胞の分化の様々なステージにおいてdecorinの遺伝子発現を抑制するが,biglycanの遺伝子発現に対する作用が異なると考えられた。
|