1999 Fiscal Year Annual Research Report
ノックアウトマウスを用いた口蓋裂発症に至る分子機構に関する研究
Project/Area Number |
10671723
|
Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
田谷 雄二 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (30197587)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島津 徳人 日本歯科大学, 歯学部, 助手 (10297947)
佐藤 かおり 日本歯科大学, 歯学部, 助手 (90287772)
柳下 寿郎 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (50256989)
|
Keywords | 二次口蓋形成 / ノックアウトマウス / 口蓋突起上皮 / 挙上現象 / deltaEF-1 / endothelin / 接着因子 / プロテオグリカン |
Research Abstract |
本研究では、口蓋裂を主要な表現型とする遺伝子改変マウスを実験試料に用いて、口蓋列の発症機構を調べた。平成11年度においては、前年度から継続するdeltaEF-1遺伝子に加えて、新たにendothelin-1遺伝子のノックアウトマウスを検索対象とした。これらの動物モデルについてのin situと器官培養系での検討結果から、以下のことが明らかとなった。(1)deltaEF-1のノックアウトマウスのホモザイゴート(-/-)においては、二次口蓋突起は挙上期をまえに停止するが、培養実験から、口蓋突起上皮は野生型マウスで検証されているような癒合能とその後の細胞消失プログラムを発現しうることが確かめられた。(2)この挙上不全の理由として、口蓋突起や舌の細胞増殖能(BrdU投与実験結果)には異常が認められず、メッケル軟骨の過形成が注目された。(3)endothelin-1ノックアウトマウスでは、小舌症とメッケル軟骨の減形成を含む下顎成長不全が表現型の特徴であり、口蓋裂の発症頻度は低かった。ただし、正常の二次口蓋突起間での癒合以外に下顎突起との癒合をきたすなど、発生機構の不調和が観察された。また、(4)遺伝子異常と口蓋裂の発症との関連について、文献検索を踏まえて総説を刊行した。さらに、前年度での光顕・走査電顕での観察結果をまとめ、形成段階を通した左右側口蓋突起の構成細胞密度の対称性と、突起癒合における突起上皮の細胞動態について論文発表した。今回の申請課題での、研究成果を踏まえ、口蓋上皮細胞での情報伝達カスケードの詳細と、口蓋裂の発症機序の解明を継続していく予定である。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 田谷雄二、他: "マウス二次口蓋形成と遺伝子改変マウスに発症する口蓋裂"歯科基礎誌. 41 6. 531-539 (1999)
-
[Publications] Y. Taya, et al.: "Pathogenesis of cleft palate in TGF-β3 knockout mice."Development. 126. 3869-3879 (1999)
-
[Publications] 添野雄一、他: "In vitroにおけるマウス胎仔口蓋突起上皮の癒合・消失:細胞蛍光標識法の応用"歯学. 87・1. 44-50 (1999)