1998 Fiscal Year Annual Research Report
インプラントと接する軟組織(歯肉)は天然歯と同じ防御機構を再生しうるか
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10671725
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
岸 好彰 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教授 (60084779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小園 知 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (40084785)
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Keywords | 咬合機能下のインプラント / 骨付血管鋳型標本 / 再生上皮直下の血管網 / ハウシップ窩 / プラークコントロール / 有窓性血管 |
Research Abstract |
咬合機能下のインプラント周囲の血管構築と骨形成について:実験的にイヌ下顎臼歯部に骨結合型のチタンインプラント(ADS)を植立し、6カ月後に上部構造物を装着して咬合機能を回復させた。9カ月後に屠殺し(1)骨付血管鋳型標本、(2)非脱灰組織切片、(3)軟X線用の試料を作製した。その結果、1)骨形成と血管網:全体として骨中のインプラント界面の9割程は骨で占められていたが、残りの界面は血管を伴った線維性結合組織がある距離をおいて骨界面中に点在していた。この結合組織中の変形した毛細血管(界面の血管と呼ぶ)は、周囲骨髄の血管と交通していた。界面の血管を取り囲む界面骨には骨吸収像(ハウシップ窩)が観察されたのに反し、界面骨には骨吸収像はほとんど認められなかった。界面骨の厚さは均一ではなく厚いところで数百ミクロン、薄い所で数十ミクロンの厚さであった。界面骨の骨髄側(界面の裏側)には骨表面に近接する多くの静脈性血管が分布し、骨吸収像が数多く観察された。これらの結果から、一度作られたインプラント周囲の界面骨は、界面側では骨代謝が細々と行われているのに対し、骨髄側では旺盛な代謝が行われていることが示唆された。したがって、このような安定した環境が続く限り界面骨の厚さは骨髄側でコントロールされる。2)プラークコントロールを行ったインプラント付着上皮直下の血管:歯槽頂を覆っていた粘膜はインプラントに向かって増殖し、天然歯における付着上皮に相当する部位で天然歯と似た上皮組織像として光顕レベルでは観察された。上皮直下には毛細血管網が同様に構築された。この毛細血管網を構成する血管の壁にはfenestra(有窓性血管)が観察された。
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[Publications] Yoshiaki Kishi: "Microvasucular architecture in two distinct gingival regions divided by an accumulation of dental calculus" Japan J.Oral Biology. 40・3. 196-200 (1998)
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[Publications] 岸,好彰: "微小循環と歯科イプラント周囲組織" 表面技術. 49・7. 696-701 (1998)
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[Publications] Masato Matsuo: "The study of microvascular changes of alveolar bone after guided bone regeneration(GBR)using ptee membrane." Microcerculation annual. 14. 71-72 (1998)