1998 Fiscal Year Annual Research Report
顔面・口腔・体幹・内臓の痛覚を伝える上行伝導路における神経活性物質受容体の機能
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10671733
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
林 治秀 東北大学, 歯学部, 教授 (90107293)
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Keywords | NK-1 受容体 / 侵害受容ニューロン / C線維反応 / 下行抑制 / 痛覚 / 大縫線核 |
Research Abstract |
本研究の目的は,顎・顔面・口腔領域を主とする体性感覚侵害受容(痛み)情報の伝達系に重きをおいて,三叉神経感覚核及び脊髄後角ニューロンについて化学伝達物質を含む神経活性物質とその受容体についてそれらの機能を明らかにすることである. 方法は:(1)麻酔したラットの脳幹または脊髄を露出して非動化後、第3頸と大縫線核髄に刺激電極を設置しておく.記録用金属微小電極を脊髄後角へ刺入する.(2)単一の体性感覚侵害受容ニューロンの電気活動を記録し、各ニューロンについて受容野へ機械,熱、電気刺激を与え,(1)受容器の種類の同定、(2)受容野の位置、大きさ、(3)受容野への電気刺激に対する潜時の測定を行い,これらに基づいて入力一次求心性神経線維の同定を行った。(3)C線維の入力が同定されたニューロンについて,(1)上位中枢への投射,(2)末梢への各種刺激にたいする反応様式,(3)インパルス発射パタン,等の検索を行った.(4)受容野の電気刺激によるC放電に対する大縫線核電気刺激の効果を調べた後,rat NK-1 receptor antagonistであるRP-67580を記録部位近辺に30-180nmol投与し,60分間以上反応を調べた. その結果,大縫線核刺激によりC放電が抑制された27個とされなかった8個のニューロンを選びRP-67580の効果を調べると,抑制されたもののうち24個はRPにより抑制された.一方抑制されなかったものうち6個はRP耐性であった.そして両者の抑制の大きさの間には相関が見られた. 以上の結果はNK-1受容体とserotonin系下行抑制の正の相関を示すものである.現在この機能的意義について検討している.
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