1998 Fiscal Year Annual Research Report
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10671737
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Research Institution | Yonezawa women's junior college |
Principal Investigator |
宮岡 洋三 山形県立米沢女子短期大学, 健康栄養学科, 助教授 (10134941)
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Keywords | 嚥下反射 / 神経性調節 / 嚥下運動 / 口腔感覚 / 嚥下関連筋 / 中枢神経系 / 嚥下障害 |
Research Abstract |
本年度の最も重要な目標は、ヒトにおける嚥下の動態を神経生理学的手法によって精確に解析できるシステムを確立することにあった。以下にある3点の解決を図るべく実験と調査を実施した。(1)咀嚼や嚥下機能に異常のない成人を対象とし、嚥下誘発の機械的また化学的刺激の閾値を精密に測定する方法を開発する、(2)同様な健常者を対象に、嚥下動態を非侵襲的な記録方法を考案する、(3)嚥下障害者を対象として、その病態に関する調査を行う。(1)については、機械的刺激の閾値を決める予備実験によって、嚥下ではなく絞扼が誘発された。これは、嚥下誘発の部位を調べた古い報告の結果と矛盾し、これまでの研究に重大かつ根本的な問題点のあることが示唆された。従って、十分な時間をかけて矛盾の解明をするため、引き続き来年度も取り組みたい。(2)については、喉頭運動の機械曲線と嚥下関連筋の筋電図活動の記録方法が定まり、それを活用して「研究発表」にある論文を刊行した。今回考案された記録方法の眼目は、変位センサーを利用した喉頭運動の描記装置にある。本装置は、嚥下に伴う甲状軟骨の動きを正確に記録できるばかりでなく、軽量でかつ脱着が容易なため小児から老人までを対象とできる汎用性をもつ。この装置による嚥下時の喉頭運動描記と同時に行った嚥下関連筋の筋電図記録の解析から、舌骨上筋群の活動が嚥下の時間経過を知る上に重要であることも明らかとなった。(3)については、中枢疾患の部位を診断できる設備をもつ病院と連携し、嚥下障害に関する基礎的な資料の収集が可能となった。収集した調査データは現在解析中であるが、来年度内には論文発表のできる段階まで達している。
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