1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10671745
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
北田 泰之 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (80018423)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤羽 和久 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (70160801)
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Keywords | 味覚 / 味蕾 / 電気生理学 / 基底細胞 / シグナル伝達 / 茸状乳頭 / カエル |
Research Abstract |
味覚刺激は味細胞に興奮を起こし化学シナプスを経て味覚神経線維末端に神経インパルスを生じさせる。最近、味蕾の基底部にある基底細胞が味細胞や味覚神経線維末端との間に化学シナプスを形成していることが形態学的に明らかとなったが基底細胞の役割はまだよく分かっていない。カエル味細胞は他の動物より大きいことからガラス微小電極を味細胞に刺入し易く味覚受容研究に使われてきた。本研究の目的はカエル味蕾内基底細胞の電気生理学的性質を調べることにより、味蕾内での味覚のシグナル伝達における基底細胞の役割を明らかにすることである。この目的のため、ウシガエル舌から茸状乳頭とそこを支配する神経(茸状乳頭-神経標本)を作製した。カエル茸状乳頭は哺乳動物とは違って乳頭が円盤状(直径150ミクロン程度)になっている。そこで、茸状乳頭の口腔面(味細胞の受容膜が口腔に面しているところ)に限局して味覚刺激を与えられるような装置を作った。この装置はガラス管でできており、茸状乳頭の口腔面を覆い、外部に味覚溶液はもれないようになっている。味蕾内基底細胞にガラス微小電極を刺入、あるいはパッチ電極をあてるためには茸状乳頭の側壁の支持細胞が邪魔になる。そこで、茸状乳頭の口腔面は味覚刺激用のガラス管で覆ったまま側壁の支持細胞だけパパイン酵素処理を行った。その結果、側壁の一部の支持細胞を除くことができパッチ電極を味蕾の基底部にあてることができるところまで標本を作ることができた。またこの標本により味蕾の基底部のイオン環境を味細胞の受容膜の味覚刺激と独立に変えることができるようになった。このように本年度は標本作りに専念した結果、目的の標本を作ることができた。今後はこの標本を用いて基底細胞の電気生理学的性質を明らかし味蕾内での味覚のシグナル伝達における基底細胞の役割を明らかにたい。
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