1999 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスタンパク質HSP90の構造と発現調節および自己免疫原性の解析
Project/Area Number |
10671746
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
根本 孝幸 長崎大学, 歯学部, 教授 (90164665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 友巳 長崎大学, 歯学部, 助手 (60189727)
小野 俊雄 長崎大学, 歯学部, 助手 (80050607)
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Keywords | ストレスタンパク質 / 分子シャペロン / HSP90 / 自己抗体 / ドメイン |
Research Abstract |
本年は以下のテーマを取り扱った。(i)二極類のHSP90アイソフォームの全身組織および口腔組織おける発現、(ii)HSP90の組織内での分子型の同定、(iii)HSP90ファミリー蛋白質〔HSP90、GRP94(小胞体型)、HtpG(大腸菌)]のドメイン構造の解析、(iv)HSP90sのターゲット分子結合領域の同定である。その結果、二つのHSP90アイソフォームのうち、HSP90βは恒常的、かつ優位に発現しおり、-方、HSP90は精巣や赤血球など組織特異的に、かつストレス誘導型の発現を示した。顎下腺、舌下腺、耳下腺、咬筋や、マウス骨芽細胞様細胞MC3T3-E1、ラット歯槽骨骨芽細胞や破骨細胞でもHSP90βがs優性であった。全身性エリテマトーデス患者の半数では抗HSP90抗体を産生するので、この抗体がHSP90α、βのどちらにより強く反応するかを検討した。その結果患者血清はHSP90βにより強く結合した。このことは多くの組織でHSP90βが優位であることと関連しているのかもしれない。しかし、反応性が弱く、かつサンプル数が少ないため有意差は得られなかったのでさらに検討する必要がある。HSP90α、βとも肝臓細胞質中では本来ダイマーがさらに重合したオリゴマー型が優位であるが、電気泳動中に(非変性条件はあっても)HSP90αはダイマーに、HSP90βはモノマーにまで解離してしまうことが判明した。HSP90ファミリー蛋白質は3ドメイン(N末側よりドメインA、B、C)からなり、そのうち、ドメインAとB、ドメインBとCが結合することが明らかとなっった。ドメインAには分子シャペロン活性に必須のターゲット蛋白質結合活性が局在していた。この活性は高温度条件での自己重合活性とカップルしていたので同じ活性を異なる方法でみているのだと結論した。
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