2000 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺細胞の唾液と糖蛋白の分泌過程における神経伝達調節物質の役割に関する研究
Project/Area Number |
10671755
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
岩渕 良志喜 日本歯科大学, 新潟歯学部, 助教授 (80095067)
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Keywords | 顎下腺 / 唾液分泌 / 蛋白分泌 / ニューロペプチドY / VIP / サブスタンスP / 修飾作用 |
Research Abstract |
VIP(Vasoactive Intestinal Peptide)によるサブスタンスPのラット顎下腺からの唾液分泌増強作用におけるニューロペプチドY、ニューロペプチドY_1およびニューロペプチドY_2受容体の役割について、それぞれの受容体に親和性の高いペプチドを用いて検討した。ニューロペプチドY受容体刺激薬のニューロペプチドY(0.3-10μg/kg)、ニューロペプチドY_1受容体刺激薬の[Leu^<31>,Pro^<34>]-ニューロペプチドY(10μg/kg)およびニューロペプチドY_2受容体刺激薬のニューロペプチドY(13-16)(10μg/kg)を静脈内投与したラットに、VIP(1μg/kg)次いでサブスタンスP(3μg/kg)をいずれも1回静脈内投与し唾液と蛋白の分泌動態について観察した。唾液分泌は、サブスタンスPで多量で、VIPとニューロペプチドYでみられなかった。VIPは、サブスタンスPによる唾液分泌量の増大と分泌時間の延長を引き起した。また、VIPは、サブスタンスPによる蛋白分泌を増大した。ニューロペプチドYは、VIPによるサブスタンスPの唾液分泌増強作用と唾液分泌の持続作用をいずれも用量依存性に抑制した。また、ニューロペプチドYは、VIPとサブスタンスPの併用投与による蛋白分泌を用量依存性に抑制した。一方、ニューロペプチドY(13-16)および[Leu^<31>,Pro^<34>]-ニューロペプチドYは、いずれもニューロペプチドYとほぼ同等の抑制効果を示した。これらの結果より、ニューロペプチドYは、VIPによるラット顎下腺からの蛋白分泌とVIPによるサブスタンスPの唾液分泌の増強作用に対していずれも抑制的に作用することが明らかとなった。したがって、ニューロペプチドYは、神経伝達物質による唾液腺からの唾液および蛋白の分泌において神経調節物質として作用することを示唆するものである。
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