1998 Fiscal Year Annual Research Report
抗癌剤によるヒト舌扁平上皮癌細胞のアポトーシスに関する検討
Project/Area Number |
10671766
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
三島 宏一 島根医科大学, 医学部, 講師 (90181875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 秀司 島根医科大学, 医学部, 助手 (80239029)
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Keywords | 癌細胞 / 抗癌剤 / アポトーシス / レイノイド / 細胞死 |
Research Abstract |
われわれは,培養ヒト舌扁平上皮癌細胞SCC-25を用いて,抗癌剤によるアポトーシスを検討した。CBDCA,レチノイドは,いずれも単独でSCC-25のアポトーシスを引き起こしたが,レチノイドは,CBDCAの誘導するアポトーシスを抑制した。これらのアポトーシスには,未だ同定されていない39kDaのBcl-2関連蛋白質が関与していた。Fasを活性化する抗体は,CBDCAが存在しないとほとんどアポトーシスを誘導できなかったが,CBDCAの存在下ではdose-dependentにアポトーシスを誘導した。逆に,Fas,FasLを中和する抗体はCBDCAによるアポトーシスを抑制できた。Fas,FasLは処理していないSCC-25においても発現しており,CBDCA処理でその量に変化は生じなかった。即ち,SCC-25において,Fas,FasLともに発現しているものの活性化されず,CBDCAによりFasの関与するアポトーシスが活性化されることが示された。また,ヒト前骨髄球性白血病細胞であるHL-60のMTXによるアポトーシスにおいてはFasがSCC-25の場合よりも強く関与していることが示唆された。 今回の研究により,一般的に,免疫細胞のアポトーシスを引き起こし,腫瘍の進展に関与するとされるFasシステムが,抗癌剤の存在により,腫瘍細胞のアポトーシスを引き起こし,腫瘍の縮小にかかわるようになることが示された。
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