1999 Fiscal Year Annual Research Report
抗癌剤によるヒト舌扁平上皮癌のアポトーシスに関する検討
Project/Area Number |
10671766
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Research Institution | Shimane Medical University School of Medicine |
Principal Investigator |
三島 宏一 島根医科大学, 医学部, 講師 (90181875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 秀司 島根医科大学, 医学部, 助手 (80239029)
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Keywords | アポトーシス / 舌癌 / Fas / 抗癌剤 |
Research Abstract |
癌組織のアポトーシスについては,癌細胞がTILや正常細胞のアポトーシスを引き起こし癌の進展や転移に関与しているとされる一方,放射線照射・抗癌剤投与などで癌細胞自身にもアポトーシスが生じることが知られている。今回の研究では,カルボプラチン(CBDCA)による舌癌細胞のアポトーシスが,Fasに依存していることを示すことができた。 Fasを活性化し,Fas依存症のアポトーシスを誘導するcytotoxic抗Fas抗体は,単独では高分化型ヒト舌扁平上皮癌細胞SCC-25のアポトーシスをほとんど誘導しなかったが,CBDCAに対する感受性を増加させた。逆に,Fas,Fas ligand(FasL)をブロックし,Fas依存症のアポトーシスを抑制するneutralizaing抗Fas抗体,抗Fas L抗体は,CBDCAによるアポトーシスを抑制した。各種抗癌剤の添加24時間後のFas,Fas Lのタンパク量は基本的に変化しなかった。遺伝子の発現においても,Fasは変化せず,Fas LはCBDCA投与直後に減少し24時間で元のレベルに戻った。悪性細胞において,Fas依存症アポトーシスを抑制することが知られているFAP-1についてもその遺伝子発現に変化は認められなかった。また,SCC-25はFas感受性であるJurkat細胞のアポトーシスを誘導し,このアポトーシスはneutralizing抗Fas抗体,抗FasL抗体で抑制された。これらの結果より,舌癌細胞においてはFas,Fas Lともに発現しているがFasLは機能的であるのに対し,Fasは非機能的であり,Fasそのものを活性化してもアポトーシスが生じない状態にあり,CBDCAの存在によりFasが機能的なものに変わりFas依存症のアポトーシスが活性化されることが示している。
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