2000 Fiscal Year Annual Research Report
扁桃滴下投与による金属アレルギーの実験動物モデルの作成
Project/Area Number |
10671775
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Research Institution | KYUSHU DENTAL COLLEGE |
Principal Investigator |
井上 博雅 九州歯科大学, 歯学部, 助教授 (20137326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻澤 利行 九州歯科大学, 歯学部, 助手 (60265006)
福泉 隆喜 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (50275442)
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Keywords | 金属イオン / ニッケル / 粘膜免疫 / 口蓋扁桃 / 分泌型IgA / ウサギ / 過敏感反応 |
Research Abstract |
口腔内に装着した金属の一部が溶出し,扁桃で取り込まれ,アレルギーを誘導するかを検討するために,ニッケル塩溶液を扁桃に投与した. 昨年の成果において,抗原として塩化ニッケル溶液と免疫を亢進するために牛アルブミンを加え週に一度6週間免疫した場合には,パッチ法および皮内注射においても,金属アレルギー反応を示す皮内反応は誘導されなかった.一方で,牛アルブミンを単独で投与しても血清抗体を誘導できないにもかかわらず,塩化ニッケルを混ぜて投与すると牛アルブミン抗体が誘導されることがわかった. 本年度はこの再現性を検討した結果,塩化ニッケルと牛アルブミンを混ぜる時期により抗体の誘導に大きく影響することがわかった.すなわち,投与直前に塩化ニッケルと牛アルブミンを混合して扁桃投与した場合,牛アルブミン抗体が誘導されたが,1日前に混合して投与した場合では,抗体の誘導は全く認められなかった. これまでの他の研究において,牛アルブミンはニッケルイオンのような金属イオンを蛋白質内に取り込んだ状態で安定となることが報告されている.したがって今回の結果は次のように理解できる.ニッケルイオンの抗体誘導補助効果は,ニッケルイオンが恐らく単独で作用した際に発揮され,金属イオンを蛋白質内部に取り込んだ場合では作用しないことが示唆された. 本研究において金属アレルギーの誘導には至らなかった.しかし,ニッケルイオンが単独で口蓋扁桃から取り込まれた場合,共存して扁桃内に取り込まれた蛋白質に対する抗体が誘導される可能性があることが示された.
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