1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10671779
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Research Institution | NIHON UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大塚 吉兵衛 日本大学, 歯学部, 教授 (50059995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 光宏 日本大学, 歯学部, 助手 (30194145)
鶴町 保 日本大学, 歯学部, 講師 (60139201)
前野 正夫 日本大学, 歯学部, 助教授 (60147618)
武市 収 日本大学, 歯学部, 助手 (10277460)
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Keywords | 歯根嚢胞内溶液 / 浸透圧 / マトリックス金属プロテアーゼ |
Research Abstract |
歯根嚢胞の拡大は,嚢胞内溶液中に滲出してくるタンパク質やムコ多糖類の増加による浸透圧の上昇と,これにともなう内圧の亢進が一因となっていると考えられている。嚢胞内の浸透圧は,血清と比較して10mOSM程度高いことが報告されているが,タンパク質自体の集積によりこの浸透圧の上昇が起こることは考えにくい。そこで,嚢胞内溶液中のタンパク質が酵素により分解されれば浸透圧の上昇が起こるはずであると考え,実験的に解析を行った。アルブミン,ゼラチン,トランスフェリンまたはヒアルロン酸をトリプシンまたはヒアルロニダーゼで分解し,浸透圧に及ぼす影響を調べた。その結果,各種タンパク質の濃度を0.1〜1,0%まで変化させても浸透圧はほとんど変化しなかったが,0.5%溶液をトリプシンにより分解すると,アルブミンでは約20mOSM,ゼラチンでは約8mOSM,トランスフェリンでは約11mOSMの浸透圧の上昇が認められた。これに対して,ヒアルロン酸では0.1%溶液で約11mOSMの浸透圧の上昇が認められ,ヒアルロニダーゼ処理による浸透圧の上昇はわずかであった。これらのことから,嚢胞内溶液中に滲出したタンパク質の酵素による分解,低分子化と,ヒアルロン酸自体の集積により浸透圧の上昇が起こる可能性が示唆された。次に,嚢胞内溶液中にマトリックス金属プロテアーゼ(MMP)が存在するかどうかを調べた。コラゲナーゼ活性はI型コラーゲンを基質として,その分解産物である3/4のバンドをSDS-PAGE後のゲル上で観察した。ゼラチナーゼ活性はゼラチンザイモグラフィーを用いて調べた。その結果,嚢胞内溶液中には活性型および潜在型のコラゲナーゼおよびゼラチナーゼが存在することが判明した。部分精製した試料を用いてウェスタン・ブロッティングを行ったところ,コラゲナーゼは抗MMP-8抗体と,ゼラチナーゼはおもに抗MMP-9抗体と,またわずかに抗MMP-2抗体と交叉した。これらのことから,歯根嚢胞内溶液中にMMPの存在が明らかとなり,その由来はおもに好中球であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)