1999 Fiscal Year Annual Research Report
舌発がん過程における炎症性刺激、細胞不死化機構の関与と発がん阻止に関する研究
Project/Area Number |
10671782
|
Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
田中 卓二 金沢医科大学, 医学部, 教授 (40126743)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 雅代 金沢医科大学, 医学部, 助手 (30199632)
太田 隆英 金沢医科大学, 医学部, 講師 (10152141)
谷野 幹夫 金沢医科大学, 医学部, 助教授 (60135051)
|
Keywords | 舌発がん / COX-2 / 発がん抑制 / 牛ラクトフェリン / フラボノイド / モリン |
Research Abstract |
昨年度は4-NQO誘発ラット舌発がん過程におけるiNOS陽性マクロファージの分布を検討し、4-NQO誘発ラット舌発がんにおけるiNOSの関与を指摘した。本年度は、4-NQO誘発ラット舌発がん過程におけるCOX-2発現の関与および舌がんのがん予防物質を見い出す目的で牛ラクトフェリン(bLF)とフラボノイドのモリンの4-NQO誘発ラット舌発がん修飾作用を検討した。 4-NQO(20ppm)を雄F344ラットに8週間飲水投与し、その23週後に非腫瘍部舌上皮、舌過形成、舌異形成、舌腫瘍のCOX-2発現を免疫組織化学、ウエスタンブロッティングで検討した。免疫組織化学的検討では、非腫瘍部舌上皮では基底層にCOX-2陽性細胞が散見されたが、過形成ではその約1/3に陽性、舌異形成と舌腫瘍(乳頭腫、扁平上皮癌)では全例にCOX-2の発現をみた。ウエスタンブロッティングでは、舌扁平上皮癌に非腫瘍部舌上皮の約6倍の発現亢進をみた。これらの結果から、4-NQO誘発ラット舌発がん過程にCOX-2タンパクの関与が示唆された。現在、COX-2の選択的阻害剤ニメスリドによる舌発がん抑制のための実験が進行中である。 一方、bLF(0.2%、2%の混餌投与)による4-NQO誘発ラット舌発がん修飾作用の検討では、2%濃度での後イニシエーション相投与で有意に舌がんの抑制をみた(64%の抑制率)(Jpn J Cancer Res、印刷中)。モリン(0.01%、0.05%の混餌投与)は、いずれの濃度でもイニシエーション相投与で44-100%の抑制率を、後イニシエーション相投与で44%の抑制率をみ、モリンの舌発がん抑制作用が明かとなった(Int J Cancer 83:381-386,1999)。また、bLF、モリンは舌や肝の解毒酵素GSTを誘導し、舌上皮の細胞増殖活性を低下させ、舌発がん抑制作用を発揮することが判明した。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Takuji Tanaka,et al.: "Immunomodulatory action of citrus auraptene on macrophage functions and cytokine production of lymphocytes in female BALB/c mice"Carcinogenesis. 20・8. 1471-1476 (1999)
-
[Publications] Kunihiro Kawabata,et al.: "Chemopreventive effect of dietary flavonoid morin on chemically induced rat tongue carcinogenesis"International Journal of Cancer. 83・3. 381-386
-
[Publications] Takuji Tanaka,et al.: "Chemopreventive effect of dietary bovine lactoferrin on 4-nitro-quinoline 1-oxide-induced tongue carcinogenesis in male F344 rats"Japanese Journal of Cancer Research. 91・1(印刷中). (2000)
-
[Publications] Akira Murakami,et al.: "Food for Health in the Pacific Rim"Food&Nutrition Press,Inc.. 9 (1999)