2000 Fiscal Year Annual Research Report
修復象牙質形成過程における象牙芽細胞の分化誘導のメカニズムに関する研究
Project/Area Number |
10671789
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
吉羽 邦彦 新潟大学, 歯学部・附属病院, 助手 (30220718)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉羽 永子 新潟大学, 歯学部, 助手 (10323974)
|
Keywords | 修復象牙質 / 象牙芽細胞 / 細胞外基質 / 歯牙移植 / 歯髄内石灰化 / 非コラーゲン蛋白 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
修復象牙質形成過程における象牙芽細胞の分化誘導のメカニズムに関する基礎的研究の一環として,特に細胞分化と細胞外基質との関連性に着目し,その局在について免疫組織化学的検索を進めている.歯牙の再植及び移植後に歯髄組織が石灰化することが知られているが,そのメカニズムについては不明な点が多い.ラット臼歯の皮下移植後の歯髄腔内硬組織形成過程における非コラーゲン蛋白,オステオカルシン(OCN),オステオポンチン(OPN),骨シアロタンパク(BSP)および象牙質シアロタンパク(DSP)の局在を免疫組織化学的に観察した.移植1週後,歯冠部歯髄組織は変性したが,血管が根尖より歯根部歯髄腔まで進入しており,歯根部の象牙前質表面には,扁平な細胞が接していた.根尖部では,象牙前質に接して多数の細胞を有する硬組織が歯髄腔内側に向かって形成されていた.2週後,血管が歯冠部へと到達し,歯根部では象牙前質表面に細胞成分の乏しい硬組織が添加され,一方歯冠部では,細胞を有する小腔構造の多数見られる骨様の硬組織が島状に形成された.3週目以降,これらの新生硬組織の量は著しく増加した.免疫局在は,OCN,OPN,BSPは歯冠部及び根尖部硬組織において強陽性反応を示したが,歯根部硬組織では特異的な局在は見られなかった.DSPは歯根部硬組織では局在を示したが,他の新生硬組織では陰性だった.以上の結果から,根尖部には骨又はセメント質と類似した特性を持つ硬組織が形成され,抜歯後も残存した周囲の歯根膜より遊走した細胞により形成された可能性が示唆された.歯根部では象牙質と類似した特性を持つ硬組織が添加的に形成されており,移植後もなお細胞活性の維持された象牙芽細胞または歯髄細胞から分化した象牙芽細胞様細胞により形成されたものと考えられた.歯冠部では,血管再生に伴い進入した間葉系細胞により骨様の硬組織が形成されたものと考えられた.
|
Research Products
(1 results)