1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10671790
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
糸田 俊之 岡山大学, 歯学部, 助手 (60294419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥井 康弘 岡山大学, 歯学部, 助教授 (10188831)
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Keywords | calbindin / osteonectin / 修復象牙質 / 象牙芽細胞 / 齲蝕 |
Research Abstract |
本年度の研究では歯髄細胞におけるCa供給の様相を免疫組織学的手法を用いて検討した。特に石灰化に関与する象牙芽細胞についてカルシウム関連蛋白の発現を検討した。 方法としてはラットの上顎第一大臼歯近心側歯頚部に窩洞を形成後,1,3,7,14,30,60日後にラットを屠殺し,凍結切片試料を作成した。そして,ABC法でosteocalcinの発現を観察し,osteonectinとdentin sialoprotein(DSP)の発現を蛍光抗体法で観察した。さらに,これら蛋白に特異的に見られた蛍光濃度はコンピューターを用いて数値化し,窩洞形成後の経時的な蛋白の発現量の変化を検討した。切片はその後HE染色を行って観察した。 その結果,osteonectinの発現は窩洞形成後3日から7日で発現量が増加し,30日以降は蛋白発現量は正常値に戻る傾向が見られた。また,HE染色では7日後頃から修復象牙質の形成が確認され,修復象牙質形成によって象牙芽細胞でカルシウム関連蛋白であるosteonectinの分泌が向上していることが確認された。DSPもosteonectinと同様の傾向が見られた。しかし,osteocalcinの発現は象牙芽細胞に見られるものの,窩洞形成による変化は明確ではなかった。 一方,前年度でラットの歯髄で見られなかったcalbindinの発現を,ヒト新鮮抜去歯を用いて検討した。方法としてはラットと同様の方法で凍結切片を作製し,ABC法で免疫染色を行った。 その結果,齲蝕により形成された修復象牙質に近接した象牙芽細胞でcaibindinの発現が増強されている像が観察された。このことから,ヒトの歯では修復象牙質形成時にカルシウム関連蛋白であるcalbindinが関与している可能性が示唆された。
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