2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10671790
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
糸田 俊之 岡山大学, 歯学部, 助手 (60294419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥井 康弘 岡山大学, 歯学部, 助教授 (10188831)
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Keywords | calbindin / osteonectin / 修復象牙質 / 象牙芽細胞 / 齲蝕 / 脱灰象牙質 / 再石灰化 |
Research Abstract |
本年度の研究では前年度に引き続きヒト齲蝕抜去歯の象牙芽細胞におけるCa供給の様相をcalbindinとosteonectin抗体を用いて免疫組織学的に検討した. ヒト齲蝕抜去歯は固定後,EDTA脱灰を行って凍結切片試料を作成した.calbindinとosteocalcinの発現はABC法により免疫染色を行った.また,同試料の別切片でHE染色を行い,象牙質と歯髄組織の観察も行った.象牙芽細胞におけるcalbindinの反応濃度は,コンピューターを用いて数値化を行い検討した. その結果,多くの齲蝕歯で修復象牙質の形成が観察された.これらの修復象牙質はHE染色によって象牙細管が豊富なものと乏しいものに分類された.細管豊富な修復象牙質下では,象牙芽細胞は円錐形の形態を示し,これらの象牙芽細胞は強いcalbindin反応を示した.一方,細管の乏しい修復象牙質下では,修復象牙質下の中央部と辺縁部で象牙芽細胞形態とcalbindin反応に違いが見られた.修復象牙質下の中央部では象牙芽細胞はほとんど見られず,わずかに存在しているものは扁平な形態をしていた.辺縁部では細管豊富なものと同様に細胞体は円錐形を示し,強いcalbindin反応が見られた.これら修復象牙質下の象牙芽細胞での強いcalbindin反応は,健全歯の象牙芽細胞や齲蝕歯の二次象牙質下での象牙芽細胞より強いことから,修復象牙質下の円錐形の象牙芽細胞は細胞内でcalbindinによるカルシウム輸送が活性化している事が示唆された.しかしながら,osteonectinではそのような反応は明確には認められなかった. また本年度は歯髄側からのカルシウムの供給による齲蝕象牙質の再石灰化についてin vitroで実験を行った.ヒト抜去歯に窩洞形成を行い窩洞内に脱灰象牙質を作成後,歯髄腔内に組織液を注入し,窩洞はフッ素徐放性歯面処理材を用いて修復を行った.その結果,フッ素徐放性歯面処理材を用いた群では脱灰象牙質の再石灰化が生じている可能性が示唆された.この石灰化は,脱灰象牙質へ歯髄側組織液中のカルシウムが沈着するのをフッ素が促進したためであると考えられた.
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