1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10671803
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山埼 宗与 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (30050032)
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Keywords | 半導体レーザー / IL-1β / IL-6 / 歯髄細胞 / 歯髄炎 |
Research Abstract |
近年、歯科臨床に低出力レーザー照射による創傷、炎症の治癒促進などに応用されている。これを不可逆性の炎症経過をたどる歯髄炎に応用し、歯髄保存療法の確立をはかることを目的として、レーザー照射による歯髄培養細胞の炎症性サイトカイン産生に対する影響について検討した。抜去された下顎第3大臼歯から無菌的に摘出した歯髄組織からout growthさせた培養細胞を歯髄培養細胞として、6から9代継代培養をし、本研究に供した。低出力レーザー照射はGa-Al-As半導体レーザー治療器(パナラス1000、波長830nm、出力600mW、松下産業機器社製)を用い、レーザー光は本体と接続した直径0.6mmの光ファイバーで誘導し、培養細胞層とファイバー尖端距離を55cmとし、この条件で10分間の照射で3.75J/cm^2の照射量になる。Porphiromonas endodontalisを嫌気培養し、hotphenol法に従って、LPSを抽出した。抽出されたLPSを5μg/ml培養液に添加し、添加と同時にレーザー照射を5および10分間行い24時間まで培養した。培養上清中のIL-1βおよびIL-6をELISA Kitを用いて、測定し、産生量とした。非照射群に比較して、IL-1β産生は5分照射群では54%、10分照射群では56%の減少が、IL-6産生は5分照射群では33%、10分照射群では43%の減少が、みられた。また、IL-1βおよびIL-6の遺伝子発現レベルで観察したところ、5分照射群および10分照射群において、レーザー非照射群に比較して、IL-1β,IL-6ともにmRNAの発現が減少した。以上の結果から、レーザー照射により、培養細胞レベルでP.e.LPSによる歯髄培養細胞に対するIL-1βおよびIL-6の産生を抑制し、炎症の進展に影響を与えていることが示唆された。
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