1999 Fiscal Year Annual Research Report
ペーストタイプ次亜塩素酸ナトリウム剤の組織刺激性に関する研究
Project/Area Number |
10671804
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Research Institution | The The Nippon Dental University, School of Dentistry at Tokyo |
Principal Investigator |
勝海 一郎 日本歯科大学, 歯学部, 教授 (50120639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
好士 連太郎 日本歯科大学, 歯学部, 助手 (80225367)
前田 宗宏 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (10219280)
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Keywords | 次亜塩素酸ナトリウム / ペースト / 有機質溶解剤 / 組織刺激 / 根管の化学的清掃拡大 / 根管の拡大形成 |
Research Abstract |
平成11年度研究では、ペーストタイプ次亜塩素酸ナトリウム剤の歯髄に対する組織刺激性を病理組織学ならびに生化学的手法を用いて評価した。 はじめに、窩洞形成が歯髄に及ぼす影響を比較したところ、歯髄内ヒスタミン含量は注水冷却により、非注水切削の値に対し84%とその量は減少していた。このことから、窩洞形成時には歯髄内ヒスタミン含量を低減するために、注水下での形成を行い、歯髄刺激性の評価を行った。 注水形成後の窩洞部に10%NaOC1ペーストあるいは10%NaOC1液を30分間作用した後アマルガムで封鎖を行い、経時的に以下の項目について検索した。 1)10%NaOC1ペースト作用による歯髄の病理学的検索:HE染色による観察の結果、作用直後より、薬剤と接触した歯髄表層部には、組織溶解層が認められた。また、その直下の組織では、出血、ならびに炎症性細胞浸潤が顕著に認められ、その傾向は12時間以降も継続していた。しかし、組織の溶解は、薬剤との接触面に局限し、深部にまでは浸透していなかった。 2)10%NaOC1ペースト作用による歯髄内ヒスタミン含量の測定:作用終了直後から48時間まで経時的に試料を摘出、抽出し、蛍光法でヒスタミン含量の測定を行った。10%NaOC1ペーストの作用により、処置直後から増加したヒスタミン含量は、処置後30分で最大値(17.60±2.16ng/mg pulp)となり、3時間以降は急速に低下し、6時間で平衡となった。一方、液剤の作用では、処置後15分で最大値(19.40±0.90ng/mg pulp)を示し、以降はペースト剤とほぼ同様の傾向を示し、平衡となった。以上の結果から、本試作ペースト剤の組織刺激性は液剤とほぼ同様であり、組織溶解性も作用部位周辺に限局することが明らかとなった。
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