2000 Fiscal Year Annual Research Report
フルオロアルキルシランの歯科修復材料への応用による耐水耐久性向上
Project/Area Number |
10671806
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Research Institution | KANAGAWA DENTAL COLLEGE |
Principal Investigator |
山中 秀起 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (50182580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二瓶 智太郎 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (50237781)
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Keywords | シランカップリング剤 / 耐水耐久性 / 表面自由エネルギー / 加水分解 / 引っ張り接着強さ / 熱分析 |
Research Abstract |
本研究の目的は、優れた処理効果と耐水耐久性をもつシランカップリング剤を開発することである。前回は、3-MPSにポリ(フルオロ)アルキル基をもつフッ素系シランを混合したカップリング剤で改質したガラス面に対するコンポジットレジンの接着強さは、3-MPS単独に比べ高い値を示した。特に、ポリ(フルオロ)アルキル基をもつ鎖長の短いものでは約20〜40%、鎖長の長いものでは約5%の濃度でピークが認められた。 今回は、ガラス界面における3-MPS単独処理と比較してフッ素シランを混合した処理が優れた耐水耐久性を示す要因を検索する一手段として、種々のシランカップリング剤で吸着したシランカップリング剤の分子構造の違いによる吸着状態の差を熱分析(TGおよびDTA)およびFTIRを用い検討した。 その結果、示差熱分析では、フッ素系シランは3-MPS処理と比較して高温側でフィラー表面から脱離する。これは、3-MPSと比べてフッ素系シランの分子量が大きいことに起因していると考えられる。また、熱重量分析では、フッ素系シランで処理したフィラーは熱水処理による経時的な重量減少率が3-MPSを用いた処理層と比べ小さい。FTIRでは、フッ素系シランで処理したフィラーは3-MPS処理したものに比べて水の存在を示す吸収が低い。また、24時間熱水処理した場合も同様であった。これは、疎水性基をもつフッ素系シランの混合処理により、処理層の耐水耐久性が向上したものと考えられる。 これらより、フッ素系シランの混合処理の処理層はフルオロ基の撥水性により水の浸入を防ぎ、シロキサン結合の加水分解を抑制すると考えられる。
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